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どんぐりが出てこない

 さらさらと枯れ葉舞う森の中で休憩していると、

 

 

「らしょうもーん、みてみて、どんぐりー」

 

「おー?」

 

 

 ルーリィが、広げた手のひらの上に小粒を載せて走ってきた。

 

 

「どんぐりあったよー」

 

「マジでどんぐりだ。形が変だけど、かわいいな、ルーリィ」

 

「ルーリィ、どんぐりだいじん」

 

 

 どんぐり大臣!?

  

 ルーリィは、えっへんえっへん言いながら、俺のコイルでテーブルを作らせ、

 その上にどんぐりを小さい順に並べている。

 

 

「どんぐり、いりますか?」

 

「え?」

 

 

 ルーリィが俺にニコニコしている。

 

 

「ルーリィ、どんぐりやさんなの」

 

「い、いります」

 

 

 大臣が華麗な転職をとげていた。

 天下りかな?

 

 

「じゃあ、どんぐりやのルーリィさん、このひょうたん型のください」

 

「では、さんどんぐりです」

 

「さんどんぐり!?」

 

 

 俺はマニュピレイト・アームを駆使し、大きめなどんぐりを

 素早く周囲から回収。

 

 わくわくしながら手を出しているルーリィに、支払った。

 

 

「ありがとうございますっ」

 

「は、はい」

 

 

 ルーリィはどんぐり3つと、どんぐり1つを交換し、

 俺の渡したどんぐりを、店先に並べた。

 

 ちょっとまてこれ、

 ルーリィには、すごい商才があるんじゃないか!?

 

 

 俺、ルーリィの才能を、伸ばしたいっ!!

 

 

 そうと決まれば、今日は付加価値について、ルーリィには考えてもらいたい。

 

 

「ほら、ルーリィみててごらん?」

 

 

 俺は、どんぐり陳列に余念がないルーリィに、

 どんぐりの頭に爪楊枝を差し込んだ、独楽どんぐりを見せて、

 

 すひゅぅぅん!

 

 アームの指先をひねり、回した。

 

 

「すっごーーーーーーいいいい!!!!」

 

 

 見事、どんぐりはコイルテーブルのうえで回転!

 

 ルーリィは鼻息あらく、目をキラキラさせている。

 

 

「らしょうもん、かぁああっこいいいいいいい!! すてき!」

 

「そ、そうか!? 俺、かっこいいとか言われたの、初めてかもしれん!」

 

「ほんとうですかー? らしょうもん、かっこいいよー?」

 

「ル……ルゥゥリイイ!」

 

 エルフ幼女は、ころころーっと転がったどんぐり独楽を見て

 ころころころ笑い転げる。

 

「ルーリィもやってみたい!」

 

「よし、やってみろっ!」

 

 

 そうしてどんぐり屋さんは、どんぐりホールディングスとなり、

 どんぐり資本がすべてを支配する、どんぐり銀行となった。

 

 

 翌日。

 

 

「……ん? もしょもしょくすぐったい……」

 

 

 俺は、妙な感触に目を覚ました。

 

 

「どうしたの? らしょうもん……」

 

 

 目を覚ましたルーリィが、仮眠室から出てくる。

 

 

「ちょっとルーリィ、昨日のどんぐりなんだけど」

 

「どーしたの?」

 

「ちょっと、そこにしまったやつ、見てみて?」

 

 

 今、俺の荷台にはどんぐりが満載されている。

 

 それでも積みきれなかったどんぐりを、運転席の物入れに詰めてあったのだが、

 

 

「あーっ、いもむしー」

 

 

 ルーリィが、俺にがっちり一体となった物入れからどんぐりを掻きだすと、

 クリーム色の小さいお客さんが、底にみっちり。

 

 

「ひゃあああああああああああああああ!!!! いいいいいもももおおっももも」

 

「かわいいいいいいー」

 

「かわいくなぃいいいい! ぁぁああああひぃぃぃいッ! 車内にいるからいくら逃げてもぉぉぉおおッ!」

 

 

 

 

 その日、羅生門は最高スピードを記録した。

次回、お金がない!

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