学園抗争に巻き込まれないなら?
「私の事はもう良いよね? 成沢、君の『悪運』もそういう特殊な力じゃないだろうか」
自分以外の誰も知らないはずな事を問われた俺は聞き返す。
「な、何でその事を!」
「それはそうと、ボクは君の体質、ひいては苦悩に興味がある」
そう言われた俺は見透かされた気がして––––––
「えっ……?」
「……今でも苦悩し続けているんだろ? 他人をうらやんだり自分を否定したりね」
俺は尾崎から不幸を招き入れる様な悪運な運も使い方次第だと言われ、学校を救う一助になってくれと誘われた。
要約すると
周りと違う奴は敬遠または標的にされる
成沢、つまり俺の能力も無駄じゃないはず
悪な運を逆転する手立てが見つかるはず
『個性』の使い方を一緒に探そうと
しかし、俺はその手を払いのけた。
「‼︎……」
「すっ……すまねえ」
「成沢?」
尾崎を巻き込みたくないのだ。理由をつけて彼女を遠ざけようとする。
「……出来ねえよ。それに……余分なお節介を焼かれるのも俺は……そんな好きじゃなくて……!」
「……お断りなのか?」
「そうさ」
「……無理強いはしない。だけど、退学だ」
ショックもあって立ち尽くすというのはこういう事なのだろうと実感。まだ話は……と呼びとめる事さえ出来ない。
(はっ!?)
「そういう処置は当然だと思わなきゃ」
伊佐原先生が遠い目で財団法人な学園の裏側はこんな感じだからと伝える。
「私立校は財団法人。政治界の大物が裏で暗躍していたりするしね。大義のためなら未来ある若者でも容赦しないだろう。そんな人達には『学校間戦争』の事を知ってしまった奴がいると気づかれてごらん。要はキミがどう扱われるのかって話」
……っーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼︎??
俺はそんな話信じられないと思いつつも可能性は否定出来ないと声が出せずにいた。
「学校を追われる、物言わぬ体にされる どちらでも親を泣かす事になるけど。第三の選択肢は与えたよ」
いつの間にかいなくなっていた尾崎と伊佐原先生(いや、脅しを受けたショックで呆けていたから気付かない内にかもしれないが)俺は教室に戻る前に自動販売機でパックの緑茶を買って平常心を取り戻そうと飲み始めた。
(……落ち着こう。今はそれが第一だ)
なかなか恐怖を抑えられず、体の震えが残っている。




