彼女にも能力というか不思議な個性が
制服を引っ張ってくる尾崎。我が校にないマークが刺繍されているだろうからと脱がそうとまでしてきた。
「他校の校章を見つけたら一発だよ。拒むなら剥くのさえいとわない」
「ちょっ……。な……オイッ‼︎ コラッ‼︎」
俺は何かを疑って制服を脱がそうとしてくる校長代行(尾崎)に抵抗。こんなマネされる理由がわからない。この女の目的は何なのかなど、苦情の意味も含めて説明を求める。
「ワケを言ってみやがれ‼︎! 説明出来んのかっ‼︎ スパイとか‼︎ 剥くとか‼︎! 代行とかよっ‼︎!」
息を切らせて文句を言う俺を見て、尾崎はにらまれているみたいだけど……とあまり表情を変えずに伊佐原先生に説明を丸投げした。
「人より頭が良くとも……やっていい事と悪い事くらいあるってわかんだろ……?」
(彼は違う)
「……悪かったね。じゃあ伊佐原先生教えてあげて」
「ん? 了解」
そうして伊佐原先生が始めた説明はスケールが大きかった。要約するならこうだろうか。この学園の校長先生は逃亡したい事。少子化の影響で優秀な生徒を入学させたい『学校間戦争』が起きている事。その戦争は生徒不足解消のために方法としてあるかもな原因で起きたものが理由。それは私立校同士の潰し合い足の引っ張り合いだろう。
更に敵が潜んでいるかも、私生活でも気をぬく暇がない。疑心暗鬼に取り憑かれた茶道先生(校長)は親交があった尾崎君に全権委任して行方知れずという現実。
俺は何だその話はと納得いかない。
「‼︎⁇ いやっ、いやいや! だってお前も高校生じゃないか」
「わたしはもう、大検で高校同等の卒業資格を得ている」
伊佐原先生は適当な事を言うので俺は声を荒げて反論。
「高卒資格持ちが高校入学が違反なんて話はないよ。いいじゃん正当だよ」
「裏口入学とか出来そうなな立場、不正だろうがっ。こじつけとしか考えられねえよ……第一っ…高卒資格取ってるとか……。ならコイツが授業受けてんのは?」
先生がそうだったかなと首を傾げた。
「……受けてた?」
「当然! 俺も後ろの席が尾崎の席だからな⁉︎ 今週も! 今後もずっと……」
記憶を頼りにそこにいただろと言おうとした。コイツとクラスメイトが話しているのも見た。覚えているはずのそんな記憶がない⁉︎ となって。
「ずっと…………ずっ、あれ?」
(あれ?)
「思い違いをしていたのかな。ボクは始業式の日以来、授業に参加(出席)はほとんどない」
「はあっ⁉︎」
「だけど教科担当の先生はおろか、クラスの誰もボクの不在には気づかなかった」
それから尾崎が小難しい話を開始する。話の延長線上でアクシデント体質について触れられた。
彼女の個性
いるのに気づかれない あってもなくても見えない
改めて意識すれば(させれば)そこにあると感じられるあいまいさ
『空気の様な存在感』それが最重要構成要素
他にも
『テストで好成績を出せる学力』
『生活態度の加点』
彼女的に大した能力じゃないらしいが。




