ひどい悪夢と疲労
(今日も「ちゅうか」のピザまん美味しかった~、それにあのカオス感をわかるやつに出会えたな。明日も帰りにみんなでってのもいいな)
前からの友人2人には拒否られるだろうけど気にしなくていいかと予定を立てている間に自然と眠りに入る。
(アイツは気が合うかも……だな……)
ノーツはまた子ども時代に両親と楽しんだ節分の夢を見ていた。
「おには外ー!」
「痛いって。痛いからノーツ、もっと優しく」
「もう! 我慢してよぉお父さん」
名前を呼ばれて腕をつかまれるノーツ。
「ノーツ」
「?」
腕をつかんだまま離さない父親の行動を不思議に思う。
「ノーツ、コロす」
節分のお面をつけている父親が本物の鬼という異形に変化したというとんでも展開(童話で見た鬼の角や牙が生える瞬間まで目に焼き付けられるかのよう)でノーツは目を覚ます。
勢い良く布団から起き上がり夢の中でつかまれた右腕を思わずおさえた。頭が痛い、息遣いも荒いという自分の体調と夢の内容に困惑中だ。
「……今のって……?」
「おはっ。ノーツ」
「おすっ」
ノーツに気づいた彼の友達2人が軽く怒った。
「ノーツ。今日先に学校に行ったと聞いたから驚いたぞ?」
「あっ……。悪かった」
「連絡よこせよなー」
何だか家にいづらかったのは夢のせい。だけど彼はこう思おうとしていた。朝の夢はただの悪夢でしかない。悪い目覚めを引き起こした夢の内容なんて楽しい事で塗りつぶせると。
学校終了後、本日も4人で遊ぶ。ノーツの家で休息中も駅前のラウンド11に向かう道中も友達がハーフコートでバスケをしている最中も楽しい。茨木と一緒に「ちゅうか」のピザまんを食して幸せを感じて嫌な記憶は封印。
『ノーツ、助けて』
『お母さん!』
そんな彼の忘れようとしている思いは実らず。母親が鬼の様な怪物に襲われているイメージが頭に流れ込んで来て。
そのイメージが流れてきたのが学校の教室。疲労が激しい。
「どうした火鳥、よく寝てたな」
「何かあったのかノーツ」
あいつやっちゃったな~的なクラスメイト達のクスクス笑いが大半だが、茨木だけは別の何かを感じ取っている様子だった。
(……なんだ。何なんだよ)
ノーツにとって居心地よくない1日が終わってからの放課後。
「ノーツ」
声をかけたのは茨木。いつもの友人2人は部活などで不在らしい。
「そんなにひどい夢でも見たの?」
「え?」
「今日の授業中の話」
思い当たる事のあるノーツだが、茨木の質問に笑ってごまかす。
「あっ。……ああ、あれね。別に! 寝ぼけたせいで恥かいたよ」
「マジ?」
と、一旦空気を読んだ茨木だったが楽しそうな表情から一変して本音を話してくれていいんだぞといった視線を送る。ノーツはこいつにはぐらかす話をしても無駄そう、話しても良いかなという気になった。




