夢を鮮明に覚えている意味?
「鬼は外ー、福はー内」
どこかの幸せそうな家庭の節分風景。
「いててっ。ノーツ。もう少し加減をだな」
ノーツという名のハーフ少年。この国の伝統行事を全力で楽しみ、母を守るという気持ちが大きくなっていた。
「だめ! 父さんは今、鬼役してもらってるから! 悪い鬼さんを退治、僕が母さんを守る!」
スマホの目覚ましアラームで目を覚ました中学生、アラームを止めてスマホの時計を見る。
(夢……)
どうやらどこかの家庭風景は彼の幼少期の記憶だった様である。
「オーウッ!!」
5分もかけず、中学校の制服着用や荷物用意を済ませ、ジイちゃんバアちゃんのいる茶の間へ。
「おはよーっ!」
「おはようノーツちゃん」
「起きたかいお寝坊さん」
ジイちゃんに寝坊と言われたので理由を口にする。
「7時前に目覚ましかけたつもりだったんだけど8時だったんだよ」
◇ ◇ ◇
「もうお友達が玄関で待っているわよ。お弁当。それと朝ごはん代わりにおにぎりを握っといたからね持ってき」
僕がこういうミスをしてしまうのは何度もある話。朝に弱いから無意識に目覚まし時計を遅くしちゃうのかもな。バアちゃんも慣れたものでどこでも簡単に食べられる朝ご飯代わりのおにぎりを作ってくれるのがありがたい。なのでしっかりお礼を伝えた。
「いつも悪いね、ありがとー」
「ノーツ、早くしろよ」
友達の短髪少年にせかされたのですぐ玄関に行こうとした。走りかけた所で呼び止められる。
「今行くよ! いってきまーす」
「まあまあ、あわてちゃって……。忘れている物とかないかい?」
「あ!」
ほれみいっというジイちゃんの呆れ声は聞き流して、茶の間に有るもういない両親の写真立てそばへ。そこに置いているプレートアクセを身につける。
「行ってくるよ父さん母さん」
僕はお出かけのあいさつを言い直し、玄関で待っていた友達たちと共に学校へ向かった。
僕は中学校になったばかり。それから数日後――
「HR始めますよ、おっとその前に……親の急な都合でバタバタしていて数日入学が遅れた生徒を紹介しなくてはね」
初老に近い男の担任教師によると、どうやら親に振り回されていたやつが来るとか。転校生として接した方が良いかもしれないな。
(どんなやつだろ……)
僕は教室内の女子が「イケメンだったら嬉しい」だとか男生徒が「可愛らしい子に来て欲しい」なんて願望を口にしているのにそんな事思うと勝手にがっかりしたりするだろうにと思っていた。
(みんな、期待しすぎじゃないかな)




