俺の枕元で何をしてんだ(汗)
食事後、一休みしてからひとっ風呂浴びてさっぱりした陽光。疲れていたので自分の部屋のベッドに足をつっこむ。
(さ、早いところ寝ちまお)
ベッドの中の毛布で寝っ転がっているジジイを間近で見た陽光は何でここにいるんだという絶叫の悲鳴をあげた。
「ヒイイイぃぃぃぃぃぃ」
「驚きすぎじゃろ。わしは化け物か」
心臓に悪い事をされた陽光は急いで床に這い出た後で抗議する。
「なっ、何してんだ。何、人のベッドに潜り込んでやがったとか!」
抗議には耳を貸す気のなさそうなジジイが一方的に話し出した。
「理由は貴様も良く知るところ。今日は満月! 見張りに行ってこんか!」
正直面倒くさいとばかりに陽光は訴える。
「はあ? もう今日くらい行かなくて良くね?? だいたい満月の日に何か起こるとかバカらしい」
「起こるというに」
距離を詰めて無言の圧力をかけてくるジジイに彼は怖気の走りを感じ取った。
「わかった! わかったから! 行けばいいんだろ、行きゃーよ!! 顔を近づけんなや」
用意しないでいると、ジジイが見張っているからネチネチ言われてしまうだろう。ぶつくさ文句を言うのも内心だけである。
(まったくさ、今までだって一度も何かが起きた試しなんてねえっつーのに。オレがじゃなく、行くなら自分が行けってんだ)
陽光の部屋にひょっこりと妹の鈴蘭がやって来た。
「おにぃちゃ~怖い夢見て……」
「ん、鈴蘭か」
まだ幼稚園年齢間近くらいの幼児妹と目を合わせて優しく言う。
「そうかそうか、しばらく側にいてやるから寝ても怖いの出て来ないはずだぞ」
「ずるー!! 私も!!」
小学3年せいくらいの妹の鈴蘭の様子を見に来て、好きなお兄ちゃんと寝る約束をしているところを目撃。妹だけずるいと思った。
「あーっ、野花も。な?」
野花と鈴蘭の共同部屋まで一緒に行って、大人用布団に妹2人を呼んだ後で鈴蘭に掛け布団をかけてやった。陽光は彼女らが寝るまで絵本を読んでやる事にする。
「兄ちゃんさー、今どき昔話とか超つまんなーい。それよりポッ◯ー(有名ゲーム漫画名)とか読んでよー」
まだ布団の中に入らず座ってリクエストする野花、寝る姿勢に入っている鈴蘭。鈴蘭の方が疑問を口にした。
「おにいー、ピ◯キオってどうして◯ノキオだけ人間になれるの?」
「昔話は良い話が多いから!」
屁理屈を言い始めて可愛げの減った妹にはそう教えた。まだ純粋な妹の問いかけには「鈴蘭の想像に任せる」と投げてもう良いだろと思う。
(ったくよ、早く寝ろっつの!!)
結局彼が昔話を読み終える頃には妹2人とも寝息を立てていた。
(寝たか。手間かかって疲れた)
やっと一息つけるという所で陽光は寝たまま無意識に服をつかんでいる鈴蘭の手に気づく。
「お父さ……お母さ……」
見張りに行かないとジジイが面倒な嫌味を言いに来そうだ。さすがに妹を寝かしつける邪魔はしに来なかったが。だるいけど動くかと決めた。小さな妹の手を服から離して軽く握り、上の妹の頭に手を置いてやる。妹達の可愛い寝顔に癒やされて見張りに行く気が高まった。
ジジイ達の部屋の隣、ジジイの書斎の窓から外に出るよう言われている。そこから出入りする事にした理由は玄関から出ようとすると親を起こしてしまう可能性があるから。ジジイなりに配慮しているようである。




