イタズラ霊に取り憑かれていたやつがいたのか
「お前は素直な気持ちを忘れてるよ、信頼が欲しいなら言葉で伝え続けなきゃ。もちろん行動でも示しなよ」
微笑みを作っている花子さんに再確認させられた事は佐古の心に響くものがある。だが、今更だとボヤいてしまった。
「信頼されてえが手遅れだよ。退学命令出されたし」
「……そうだけど」
花子さんが「だったら」と再考してもらえそうな意見を教えた。行動に起こそうと佐古を誘う。
「じゃあね――犯人を捕まえれば別じゃない!?」
1階の女子トイレにて筆のようなもので何者かが落書きをしているのを発見。犯人の野郎、邪魔な奴がいなくなったのかと思ったのか。
「3回目くらいだったか」
さすがに女子トイレなので怒っていた時と違い、佐古は入りづらそうにしているが、放課後でドアが開けっ放しになっていたので声をかける事はしやすかった。
「やめたらどうだ」
眼鏡っ娘美術部員は犯人扱いされないために釈明を始めた。自分の怪我している腕でどうやって書けばいいのかと質問したりして惑わす。
「ち、違います! 私が来た時にはこんな感じでした……それに交通事故で痛めたこの腕じゃ……」
うつろな目でつぶやいた。
「もう……絵を描くことなんて……」
美術部員の三つ編みを持った花子さんが、簡単な推理を披露する。
「髪の先に塗料を付けて筆代わりにしたんだよね?」
花子さんに推理されるごとに美術部員の心臓の鼓動が高まっていく。
「使用後は切るだけ、昨日より髪が短くなってるもの」
「……!!」
子どもの花子さんに出逢ったとしても《見えたとしても》普通ならすぐには会話出来ない。狼狽えるのが普通だ。推理にかみついてくるという事はイタズラ霊など何者かが美術部員の体を利用しているという事、花子さんはそいつをいぶり出した。
「ふざけてんの! 手が使えないって言ってんのよ! 髪だけを動かせるようなマネなんて……」
「出来るの」
少し前から何者かに意識を操作されている感のある美術部員をすべてを見透かすかのごとく見つめる。
「髪に霊力の類を憑かせてしまえばお前の意思で動かせるんだから!」
ショックを与えたので女美術部員の意識が朦朧としてきたようである。
「…………!!」
「隠れなくて良いでしょ、出てきな。いるのはわかるのよ」
佐古は展開が急すぎて体がついていかない様子だった。
「コイツが私の姿見えた=おばけが見えるのはお化け同士か……お化けに取り憑かれている人だけだし」
女美術部員の体内からゴブリンっぽい存在が姿を現した。
「バレていたとは」
佐古は花子さんが近くにいて、神通力が影響しているからかゴブリンの異形さがわかった。だからこそほうけるしかない。気づいていたかどうかっていうのは花子さんがしれっと予想していたようである。




