花子さんに同情なんてしねえ
校門前で何やら楽しそうに談笑しているっぽい女の子グループに花子さんが目を向けている。
「この時期の女の子がするおしゃべりやオシャレ。うらやましいな……」
叶わない願いだとわかっていてもつぶやいてしまう、花子さんの瞳にはどう映っているのか佐古には思う所はあった。
(そうだったな……「花子さん」って早めに亡くなっちまっている女の子のお化けだったんだ)
「おい……」
花子さんに対して感傷に浸る気持ちの出た佐古だがその考えは自分の欲望のためになかった事にした。今、やりたい事を優先して自転車に乗ってスピードを出して帰宅する。
「今日は疲れたからじゃあな!」
「オーイ!!」
夕暮れ空の中、花子さんは叫ぶが佐古に無視された。
「犯人見つけないの!?」「待ちなさい!」
その次の日――
昨日は青空でさわやかな天候だったのに、うってかわって外の天気と同じように学校内もよどんだ空気が支配している。
「……連日に今度は別の階のトイレだ……」
廊下で会ったオランウータン先生に呼びつけられた佐古は心中穏やかでいられない。
(また俺をうたぐんのか……)
「お前がペンキを塗ってうろついていた話も耳にしていたんだからな」
それ自体はその通りだから反論するつもりもない。ペンキを美術準備室に返しに行ったと知っているはずなんだから。だが、頭ごなしな言われようなので我慢ならず売り言葉に買い言葉状態になってしまった。
「お前じゃないんだな!?」
「そう言ってんだろーが」
つかの間の沈黙が有り、オランウータン顔の生活指導顧問の決めつけるような一言に彼の怒りは頂点に達する。
「……正直はっきりしろ!!」
「むかついた!! 俺がやったって言えば満足なんだろ!!」
机を強く叩いたり、椅子を蹴ったりしてやり場のない怒りを発散しようとする。ほんのわずか落ち着いた所で生活指導顧問に退室時、苦情を言い残して去った。
「これで満足かよ!?」
生活指導室の外では佐古の怒りの声にかこつけて、彼の退場後に弥次馬生徒が増えつつあった。それぞれが本人不在だからか好き放題の事を口にしている。
「佐古だと思ってた……」
「だね」
その騒ぎが聞こえてきたので気になって、佐古だけが見える花子さんがすまなそうに頬をかいていた。
「あ~あ、昨日も寝ちゃったな。佐古に申し訳ないとしか……!」
野次馬生徒の後ろの方で様子を見守っている生徒が一人。腕を怪我している美術部女生徒の姿に花子さんが気づく。
「昨日の美術部にいた?」
今週は日曜日ではなく、明後日の祝日に更新しますね。




