おさげに攻撃力がある……だ……と!?
花子さんはドスの効いた声で訊ねながら、佐古の利き手をしめあげる。痛さを我慢しながらなので、か細い声で返事をするのがやっとだった。
「騒がしさが増してっけど、お前みたいなおばけが堂々としてるからじゃね?」
佐古に気づかれないような小声で「またやる気なのか」と佐古の方を見ながらささやきあっている男生徒達。聞かれた質問に花子さんが答える。
「私がお前以外に見えているわけないだろう。お前がペンキを持ってうろついているからだ! 一応教えておいてやるが私達のような存在が見える対象はお化け同士あるいは取り憑かれている人だけ」
最初は他人事のような返事をした佐古だったが、言われた意味を理解したら驚きの声をあげずにはいられない。
「ほうっ。……って、俺は取り憑かれているのかよ!?」
それは後回しにしてやる事を先にするかという感じの佐古。まずは美術室が目についたので、部活でもしている奴がいるだろうと踏んで足を踏み入れた。
そこには左手を使いづらそうにしながらも頑張って絵を描いている右手を怪我した地味メガネのおさげの女の子がいた。来客に気づいたおさげ娘が佐古の対応にやって来る。
「実は美術部、私一人でして」
一目見ただけで候補から外して問題無いと思える。だが、相手の方はプレッシャーを感じたせいか、佐古の視線を気にして聞かれてもいない事を話し始めていた。
「利き手を怪我するなんてミスのせいで満足な絵も描けないんですよ……」
さっきまで慣れない左手で描いていた地味メガネっ娘が、一応完成した絵に対する批評を求めてくる。
「これ《絵》、どう思います?」
佐古は正直に思ったままを答えた。相手にどう思われようとでどうだって良いと思っているので。
「おむすびとか変なモチーフだ」
メガネっ娘が「そんな批評されるとは思ってなかった」という感じに驚く位の反応で振り向いた時、勢いのついたおさげが佐古の頬付近を直撃した。
「はい!?」
わざとだと思われるのが嫌なので謝罪するメガネっ娘だが、その時にもおさげがしなって佐古に当たりそうになっている。
「申し訳なく!」
「まわすな、頭をさげるな」
そんな2人の様子よりも、佐古に憑いている花子さんは絵に使う塗料が置いてある美術準備室の机の上に置いてあるのを気にしていた。
不器用な佐古、言葉では何を言っても信じてもらえない学校の雰囲気を感じつつもあきらめない。機嫌の悪そうな目つきでペンキを使った犯人を聞きまわっていた。こんな状況下でからんできた不良にはいつも以上に八つ当りする。
「聞こうが探そうが見つかる要素がねえ! 俺を見ただけで、恐怖で声を出せないような奴も結構いるしよ。手掛かりなさすぎだろ、バカバカしくてやる気……」
特に収穫がない。ただ無駄に疲れただけなので窓の桟に両手をかけて佐古はだらけていた。
「楽しそう……」
ふざけてんのか! と佐古は花子さんに怒りをぶつけようとしたが、見ている対象が違ったので勘違いかと怒りを鎮める。
「あ!?」
「あっちあっち」




