彼女がどうなっても僕はずっと一緒に
そして、今更ながら僕は意を決して、葉子が真に聞きたかったと思われる気持ちを口にした。そんな告白なんて死ぬほど恥ずかしい。それでも小心者の僕なりに喜んでもらえるはずだと秘めた想いを伝えたのである。
「一目惚れだったんだ!! ずっと一緒にいてくれないか……っ!!」
「しゅう……」
さすがにいつまでも秀英の右腕一本では、葉子の体を引き上げて支える事が出来なくなる。
ほんのわずかな力の緩みが取り返しの付かない事になるところだった。僕の秘めた気持ちを聞いて希望を持ったに違いない。希望を覚えたはずの葉子が絶望の表情になりかける。
葉子の落下しそうな体をどうにか止めようと、僕はいつの間にか自らの命を投げ打ったとしてもと助けようと体が動いていた。
「……ギ、ギリギリセーフ? どうにか生きてる……」
落ちた先が二~三階くらいの大きさがある木の葉っぱ部分。何度も葉っぱクッションで落下スピードが落ちたその結果、何ヶ所かのすり傷程度という奇跡の生還を経験する事に。
「あんたね……一緒に落ちてくるとか……無茶は私だけがすればいいのっ!! 秀英は無理したらダメ」
怒りに任せて葉子が僕の肋骨付近に力を入れる。
「いててててええええ、やばいってーっ」
骨がきしむような音が聞こえた気もするけど、僕は叫べるだけマシだと思う。痛みを認識出来ない状態の方が危険だと理解しているからだ。
「うぐうっ、セーフとも言い難いかな」
葉子が私が見守ってあげなきゃいけないなこの大切な人といった表情で見つめてきている気がした。
「ねっ、秀英。私、透けちゃうんだよ? それでもずっと一緒にいてくれるの?」
きっと不安だったのだろう、改めて葉子が問いかけてきた。僕の答えは決まっている。
「当たり前だよ!」
消えそうになっている体のまま、葉子が僕の胸付近に顔をうずめて泣きはらしていた。
◇ ◇ ◇
「あー、もうまた……」
「はい」
この街の住人である若妻と姑が通りかかった先にある家から聞こえてくるつぶやきのような声を気にする。
「この家のおじいさん、外にまで独り言をもらしちゃっているのよ」
「ボケているんじゃないんですか?」
若妻と嬉しそうに手をつないでいる男の子が母親達の意見を聞いて不満そうにしている。あたかも見た事があるかのように抗議していた。
「えー、違うよ~。この家には天使さんが一緒に住んでいるんだよ!」
そして、その家の中――
「ほっほっほ。そうじゃねぇ、今日もええ天気じゃ……」
縁側でお茶を飲みながら、最愛の人とおじいちゃんが語らっていた。
この作品は終了しました。いかがでしたでしょうか?
また1~2ヶ月(予定)後に別作品の更新がありますのでよろしくお願いしますm(__)m
そろそろ『読みきり短篇集』の最新作を掲載しようかと考えていたり。




