表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジー詰め合わせ  作者: 霜三矢 夜新
インビジレイザー
10/64

僕は君がいてくれたからこそ

 私の家族、仲良くしてくれた友達のみんな、それに秀英、先立つ不幸を許して。死後の処理とか最後まで迷惑かけてごめんなさいとそういった心境で後少し葉子が靴を滑らせるだけですべてが終わる。そのはずだった。


「いけない!! 葉子!!」

 半分以上、体の部位が見えない葉子のまだ消えていない左腕をつなぎ止めるかのように力を入れて、僕は葉子の体を腕一本で支える。支えられた時、最後に一目見たかった好意を持ったあいつが助けようとしてくれているなんてと、葉子にとっては夢をみているかのような心境になっているかのような表情だ。今なら本心を伝えやすいと思った。

「……しゅう……えい……」

「……悪かった、僕は葉子の感じている絶望を軽減させてあげられなかった……でもこんなっ……!! こんなマネをしなくても!!」

 

 僕の偽らざる気持ちがどこまで伝わるかなんてわからなかった。でも絶対に言わなきゃいけないと思ったんだ。支えられたままの葉子が聞いてくる。

「……ねぇ、秀英……知ってた? インビジレイザーって見えなくなるだけなの。心まで消えたり死んだりって訳じゃないんだよ」


 葉子を支えたまま、引き上げようとしつつ僕は叫んだ。

「そーだけどね! こんな事しないで!」

 だけど葉子が次に聞いてきた事は重い事実だったのである。

「そうなったら生きてるって思える? 誰からも見てもらえない触れてもらえない。そうしたら誰が私を生きているって証明してくれるの? 誰からも気づいてもらえないのに心だけ残るなんてそんなの……っ、死ぬより辛くないかな?」

 確かに言われた通りだ。葉子の苦しみが僕にも痛いほど伝わってきた。『特に『誰にも……気付かれない』という部分が僕の経験してきた事を思い返すきっかけに。

(それは……僕には葉子きみがいてくれたから……)


 

 塞ぎこんでいた僕に、遠慮せず声をかけてくれた


 気の弱い僕なんて、誰にも気にしてもらえないだろうって決めつけていた


 どんな形にせよ、誘ってもらった瞬間にどれだけ嬉しい気持ちを覚えたか


 いつも笑顔で手を引いてくれた葉子がいたからこそ


 今の中学校だって、葉子が僕に良く声をかけてくれるから話好きの級友が僕にも興味を持ってくれたんだ。茶化す意見なんか簡単に一蹴して。今この瞬間、誰も信じてくれなくたって良い、僕は君の姿が消えてもいるという事を訴え続けると葉子に誓う。

「泣きそうな表情にならないで……っ、それなら僕が葉子はいるんだって事を永久に証明する気だから!! わかってくれるよね……こんなのダメだ!!」

 大切な事なのでもう一度似たような言葉を伝えた。

「次は僕の番って思ってるよ。昔、葉子が僕をここで見つけてくれたから僕は一人じゃなくなったし……だから……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング 読んでくれてありがとうございます! 良かったら押して欲しいですね
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ