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ビューティフル・レタス  作者: 村猫
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1.ラブレター

生まれてこの方、私、西野風子という人間はラブレターをもらったことがない。

そもそも、ラブレターを渡される人間なんて、この世界に一握りぐらいしかいないんじゃないだろうか。

いや、むしろあれは二次元の産物であり、リアルには存在しな……


「嘘……マジ?」


私の手に握られているものは、おそらくラブレター。

下校途中に宿題が提出されていることを思い出し、しぶしぶ教室に戻って机の中をまさぐっていたところ、これが突然出てきたというわけだ。


前から4つ目、窓側から3つ目。

間違いなく私の机。

握られた封筒の裏に書いてある差出人の名前は黒部勲くろべ いさお


……だれ?


クラスの男子を数人思い浮かべてみるが、黒部という男子生徒は思い当たらない。

同じクラスの男子だろうか。


2年にあがると同時にクラス替えをして日が浅い。

まだ名前と顔が一致してないクラスメイトがちらほらいる。

同じクラスではなく、別のクラスもしくは、別の学年っていう可能性もあるけど……

学年とクラスが書いてないところをみると、やはり同じクラスという確率が高い。


文面にはこう書いてある。


「ずっと君の事が好きでした。君は気持ち悪いと思うかもしれませんが、たとえそう思われようとも僕は君に僕の気持ちを伝えようと決心しました。

13日の放課後、屋上へでる階段の踊り場に来てください」


夢を見たことがある。

ラブレターをもらって、誰かから告白される夢を。

キラキラと輝く夢物語を描いたことがある。

だけど……


「うーん、困った……」


好きと言われても、知らない相手なのだから、確実に「ごめんなさい」もしくは「お友達から」という答えになってしまう。

私は男ならだれでも付き合うぞ、というタイプでないからなおのこと。

たとえ、超絶イケメンであってもだ。


13日ってことは、明日かあ。

教室の前にかけてあるカレンダーに視線をあげる。


13日の金曜日。

あまり縁起が良いとは言いづらいけど、翌2日は土日でお休み。

フられればその痛手を癒し、付き合うことになればさっそくデートという最高の曜日であることは間違いない。


私は丁寧にそのラブレターをカバンにしまいこみ、どうすっかなーとため息交じりに教室に一人ぽつんと途方に暮れるのであった。




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