奈菜
「敦くん!」
瑠菜に相談した日の放課後。私、奈菜は敦くんを屋上に呼び出した。
ずっと、好きだった。
でも、るみも敦くんのことが好きなんだと、分かった。
本人に直接言われたわけじゃない。でも、るみはとっても分かりやすかった。
るみはとっても敦くんと仲が良くて、仲よく話しているのを見ると、なんだか羨ましかった。
だから、るみをちょっとだけ悲しませたかった。
ただ、それだけだった。
「私ね……敦くんが……好きなの!」
私は、敦くんに告白した。
敦くんは、にっこり笑い、
「いいよ」
と言った。
「えぇぇ!ほ、ほんとに!」
私驚くふりをする。
「うん。告られたの、初めてで、嬉しいし」
敦くん、少し恥ずかしそう。
かっこいい!
でも私は知ってる。敦くんの本当の気持ちを……
一か月前、私は敦くんが友達と恋の話をしているのを聞いてしまった。
「俺、もし告られたら誰でもいいから付き合う!」
敦くんが友達に言う。
「なんで?」
「だって、自慢できるじゃん。それにキスとかしたいし」
「でも、ファーストキスだぜ?もったいなくね?」
「俺は、好きな人とキスする時に下手なままとか嫌なんだよ」
「なるほどね!」
敦くんはそう言って笑っていた。
私が告白すれば、敦くんとキスできる。
キス……したい……
もしかしたら、私はそれ目的で告白したのかもしれない……