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Drifter  作者: へるぷみ~
帰るべき場所へ
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機械を喰らう者たち

普通に、人間じゃない。



 さて、椛と紳士が機械たちに追われながら街の中心へと走っている最中、未だに機械に見つかることなく二人のいるであろう場所を目指して椋と悼也は走っていた。

 予定していた時間通り、最初に爆発のあった場所にたどり着いたわけだがもちろんそこに椛と紳士はいるわけがない。

 なので、そこから現場の惨状と痕跡を追って追いつこうとしていた。


 「機械があるし、いくつかの奴には武器が取り付けられてたってことは、警備みたいなものかな?」

 「恐らくそうだろう」


 機械に対して気配も何もないが、出来る限り音を立てず、移動は地上ではなく建物の屋根や屋上を伝って見下ろせるようにする。これによって突然の遭遇を避けるのと、二人を見つけ出すのを容易にするという理由からだった。

 それと、凹凸が激しい場所においては囲まれることも少なく、壊れていた機械のほとんどには足がついていたということもあった。

 おかげで、今のところ一方的に機械を発見することはあっても見つかるということはなかった。


 「でも、一応近づいてきてる」


 路地を曲がりながら移動している椛と紳士に対して椋も悼也もほぼ直線距離で移動し続ける騒動の場所へは徐々に近づいてきており、現在では発砲音がはっきりと聞こえるほどに近づきつつあった。

 そのまま速度を落とすことなく、建物の屋上一つをまた飛び伝い別の建物の屋根へと着地すると、ついに機械群の影を発見した。あの先頭、椛と紳士はいるのだろう。

 といっても追いついたところで今度は椋と悼也も一緒になって追いかけられる羽目になるのは明白だ。それでは、追いついた意味がない。

 そこで、二人は背後から強襲していき追いつくこと決めた。幸いにも、機械は精密機器であり、一部の回路でも壊せばまともに動けなくなる。武装している機械に関しては足を止めるだけでなく武装の破壊による戦闘不能に陥れるか、完全な破壊を目指すしかなかった。


 「行くよ、悼也君」

 「ああ」


 言葉と同時に、己の武器を装備し二人は建物から飛び降りた。

 高所から落下により速度は増し、その勢いとともに武装付きの二機の上部が陥没。数秒の後に爆発。無論、数秒などと長い時間を二人が同じ場所にいるわけもなく、すぐさま別の機の背へと跳躍。先ほどのような落下の勢いは作れないので、飛び乗ると同時に武装の装備されている砲塔を破壊。敵性に反応した機械が攻撃しようとして武装を起動させるも壊れた砲塔に銃弾を詰まらせ自損。その影響により内部も破損し、力なくそこで止まった。

 これで四機の破壊。いくら奇襲とはいえ、生身での動きとは到底思えなかった。

 そこから、後方に存在していた機械の幾つかが二人の存在に気付いたが、二人とも気づかれると同時に破壊した。

 着々と、移動を続ける機械たちの背を伝いながら前へと二人は進み、その間にも飛び移った機械たちは壊されていく。

 その様子を上部から観察でもすれば、凄まじさはよりはっきりとわかるだろう。

 一つ二つ周りどころではない機械たちをものの数秒で破壊し、次の標的に乗り移ればまた破壊。二つの小さな存在が機械の軍勢を後方から喰い散らかしているのである。それも、目に見える速度で機械は道へと残されていき、鉄くずの道が出来上がっている。

 しかも動きは段々と的確に、確実に、迅速に。

 武装付きは速攻で破壊し、猟犬型の移動の速いのは残し、移動に使う。索敵型は破損した機械の破片を投擲して範囲に捉えられるよりも早く地に伏せさせた。

 絶え間なく続く爆発と煙。

 それは椛と紳士を追いかける機械たちが起こしているものではない。

 椋と悼也による、喰われゆく機械の最後の光景だった。



久々にこの二人が普通じゃない、っていうのを書けた気がします。もちろんいろんな場面でいやいやありえないだろ、みたいのはあったんですけど悼也の場合はそのあとほとんどやられてますし、椋も精霊の力を使っているので実力だとは言い切れない部分が増えてましたので。

でも、さすがにやりすぎたかも……。


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