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退魔師と呪い

麗奈と功才、メリーを何時か絡ませたい

約束通りの時間に麗奈の家に到着したのでメールを送り待っていると玄関からお婆さんが出て来た。


「おや、この間のお坊さんじゃないか。うちの馬鹿孫とデートかい?あんたなら麗奈を任せても安心だよ」


俺に話し掛けてきたのは麗奈のお婆さん。


「残念ですがデートじゃなく、ただの送り迎え役ですよ」


「やれやれ、あの馬鹿孫はどうせガソリン代も出さないんだろ?ところでお坊さんは見合いをする気はないかい?暇な日にちを教えてくれたら知り合いに連絡するからさ」


この有無を言わせぬ強引さは麗奈のお婆さんなんだと実感をさせられる。


「お気遣いは有り難いんですけども、俺はまだ学生ですよ。きちんと一人前になれた時にはお願いをしますね」


「礼儀はわきまえているし、婆の与太話にも嫌な顔もせずに付き合ってくれる。どこの娘さんと見合いをさせても恥ずかしくないんだけどね」


「それは買い被りですよ。それに俺なんて見合い写真の時点で断られますよ」


「あのね私が薦める娘に見た目やダンスを条件にする馬鹿はいないよ。どこかの馬鹿娘と違って人に迎えを頼んでおきながら待たせる様な事はしないね」


お婆さんが玄関をジロリとにらむと、その本人が悪びれもせずにタイミングよく登場した。


「山っちごめんごめん、待たせちゃったかな?それじゃしゅっぱーつ!!」


「この馬鹿はまともな挨拶も知らないのかい!お坊さん礼儀知らずの孫ですいません。それと見合いの件はちゃんと考えて下さいね」


「ちょっお婆ちゃん、本当に山っちにお見合いをさせる気?」


「そのお坊さんならどこに紹介しても恥ずかしくないからね。それに麗奈の恋人じゃないんだからバイト先の先輩に見合いをすすめて何が悪いんだい?」


何だかんだで出発できたがお婆さんに言い負かされた麗奈は病院に着いても不機嫌になっていた。


「ねー山っち、本当にお見合いをするの?」


「しても写真で断られるよ。しかし大きい病院だよな」


いわゆる総合病院ってやつなんだろうけども、かなり大きい建物だ。


「私が聞きたいのは山っちがお見合いをしたいかどうかなんだって。それに世の中には物好きな娘もいるかもしれないじゃん?お見合いして気に入られたら結婚しちゃうの?」


「なんでそこまで飛躍するんだよ。それよりも病室はちゃんと覚えてるか?」


今回入院したのは麗奈の1才年上の女の先輩、つまり高校2年生の女の子。

麗奈の彼氏ならともかく初対面の俺が病室に入るのはマナー違反だろうから話が終わるまでホールで待機する事にした。


「あっ、この部屋だ。それじゃ山っち待っててね」


麗奈が向かった先から感じる独特の気配、あれは力こそ弱いが呪詛の気配がする。


「あっれー?山田君じゃない?君が女の子のお見舞いに来たなんて知ったらみんな驚くだろうねー」


気配を探っていた俺に話しかけてきたのは身長140㎝ぐらいの白衣に身を包んだ女性、見た目は中学生にも見える。


柘植つげさん、お久しぶりです。でも何でここにいるんですか?」


柘植遥香さん、確か年は見た目と違い二十代半ば。

そして偶然にしては出来過ぎなんだけれども俺と同じ組織の人間だった。


「それはこっちの台詞だよ。私はこの病室に担当の患者さんがいるんだから」


柘植さんは組織の事前調査部の所属で、霊障を治療したり組織の人間が怪我をした時には治療もしてくれている。

俺も怪我を治してもらった事があるし、霊障の原因を祓って欲しいと頼まれた事もあった。


「柘植さんはここのお医者さんだったんですか?俺は知り合いを送って来ただけですよ」


「何だ残念。たまには明るい話題でお姉さんを安心させて欲しいんだけどな」


柘植さんが長い黒髪をかきあげながら悪戯っぽく笑う。

見た目こそ子供っぽいが、柘植さんは組織の先輩で昔から世話になっている為に頭が上がらない。


「それより柘植さん、この部屋の患者さんって」

「山っち病室の前でナンパなんて最低!!しかもロリ?」

柘植さんと話をしてるのが気にくわないのか麗奈は何故か不機嫌な様子。


「あのなあ麗奈、この人は知り合いなんだよ。それに俺より年上なんだぜ」


「あっ先生、ご苦労様です。麗奈が男相手に感情的になるなんて珍しいね」


麗奈に話し掛けてきたのは黒髪でショートカットの娘。

中性的な顔立ちで美少女と言って差し支えない。


「久保田さんもう歩くのは問題ないみたいね。一安心だよ」


柘植さんは一安心と言ってるが久保田さんの足からは呪詛の独特のどす黒いオーラがまとわりついている。


(柘植さん久保田さんの怪我の原因は呪詛ですか?)


(おー流石は現役退魔師。どの呪詛にも当てはまらなくて解呪ができていないんだよね)


(掛けた相手は素人なんじゃないですか?人を呪わば穴二つなんですけどね)


呪詛はきちんとした手順を踏まないと自分に呪いが降りかかってくる。


「むー、山っち帰るよ!!デレデレしてみっともない。それじゃ桜さんまたお見舞いに来ますね」


「おい麗奈手を引っ張らなくても歩けるって。それじゃ柘植さん失礼します」


――――――――――


「ねえ久保田さん、あの麗奈って娘山田君の事好きなのかな?あれぐらい強引じゃないとあの朴念仁の相手は務まらないからお願いしたいんだよねー」


「どうでしょうね、麗奈の好みとは間逆ですから。麗奈の自覚次第だと思いますよ」


山田達を見送った2人は互いの不器用な後輩を思って溜め息をついた。


ちなみに今回出て来たキャラは感想から貰いました

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