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闇に浮かぶモノ

久しぶりの山田さんです

 微妙な空気にしちゃったかなと、思った瞬間、芹香が突然笑いだした。


「美保から聞いてたけど、本当にマジなんだー。あの麗奈がねー」


「あのって何よ…いや、言わなくてもいいわ。それで芹香相談があるんでしょ、なんか困ってんの?」

 山っちの前で前の男の話なんか有り得ない。


「あのさ、麗奈の彼氏ってお坊さんなんでしょ?幽霊とか見えたりする訳?」


「山っちどう?なんか視える?」


「いや、悪い霊は憑いてない。高城さん何か気になる事でもあったんですか?俺で良ければ話を聞かせて下さい」

 山っちの言葉に芹香は安心したのか、ぽつりぽつりと話し出した。


「1ヵ月前に突然バイトを辞めた娘がいたんです。その娘は純って言って同じ学校で仲も良かったんですけど、バイトを辞めてから学校が終われば即行帰っちゃうし、最近は無断外泊もしてるみたいで…あんなに好きだった彼氏とも別れちゃうし」


「それって、ただ単に新しい男が出来たんじゃないの?」

 男からしてみたら、彼女がメイド喫茶でバイトをしてるのは面白くはないだろうし。 


「でも純だけじゃなく、似た様な娘がうちの店だけで3人もいるんだよ。他のメイド喫茶にもいるって話だし…これは噂なんですけど、辞めた娘達はみんなおかしくなる前に痩せた男の霊を見たって言うんですよ」


「高城さんも見たんですね?」


「最初は見間違えだと思いました。でもはっきりと見える時が増えてきたんです。昨日なんて電車の窓から私を見ていて」

 何かを思い出したらしく、芹香の顔が青ざめる。


「電車の窓?普通じゃね?」


「走ってる電車の外にいたんだよ。麗奈、私も純みたいになっちゃうのかな…私、剛と別れたくないよ」

 剛は芹香の彼氏で幼馴染みの男の子、剛って名前の割にはヒョロッとして頼りない感じなんだけど、優しい性格で芹香とは本当に仲が良い。


「山っち、私からもお願い。芹香を守ってあげて」


「とりあえず今日は家まで送りますよ。明日からバイトの帰りには俺と麗奈がお迎えに行かせてもらいます」

 それを聞いた芹香は安心したのか深い溜め息を漏らして涙を溢した。


「信じてくれるんですか?良かった…麗奈もありがとう」

 そりゃそうだ、前の私ならこんな話は相手にしなかったと思うし、芹香も私達が信じなかったら冗談で済ませたかも知れない。

 結局、芹香の家に着くまで何も起きなかったし、山っちは簡単な結界を芹香の家に張った。


「山っち、これからどうするの?」


「明日から護衛に入る、それと調査班には連絡をしておいた。麗奈、何人もの少女が定期的に集まっても不振がられない場所なんてあるか?」

 集まると言って直ぐに思い付くのはマック。

 クラブだと放課後すぐに開いてる所は少ないし、図書館なら平日でもやっていて制服で行っても目立たないけどお泊まりはできない。

 個人の家や倉庫は直ぐに怪しまれるし…。


「バイトかマックしか思いつかないよ…山っち、やっぱり霊が絡んでるの?芹香には何も憑いてなかったんだよね?」


「高城さんには憑いてないけど、何か嫌な予感がするんだよ。とりあえずは純菜さんの調査待ちだな」

 まさかマックで朝まで過ごしてるんじゃないよね。 


―――――――――――――――――


 それから数日後、八木と篠崎が調査の報告をしに家に来てくれた。


「それで何か分かったのか?」

 

「分かったYOー、でもFUに落ちないんだよNAー。みんな、普通に予備校に通っていただけなんだぜー」

 珍しく八木が額に皺を寄せる。


「別に学生が予備校に通うのは不思議じゃないだろ?」


「相変わらず山は真面目だね…それまで勉強に熱心じゃなかった娘が突然バイトや男より学業を優先してんだZE。しかも同じ時期に同じ予備校に通いだしたんだ。しかも飲食店で接客をしていた娘…メイド喫茶みたいに客と話す機会が多い娘ばかりがな。それに雪菜が言うには授業態度も妙だったらしい」


「そうなんですよ、予備校に来ているのに真面目に授業を聞いてないんです…それなのに遅くまで残ってるし」

 つまり、予備校に通うには違う目的があるかも知れないと。 


「予備校におかしな点はなかったのか?出来て間もないとか経営者に後ろめたい事があるとか?」


「ぜっんぜっん、至極全うな歴史ある予備校だよ。有名大学に合格者を多数出していて規模もそれなりに大きい。カリスマ教師なんてのもいたし…強いて言えば教師に人気ランキングなんてのがあるぐらいかな」

 教師の人気ランキングか…俺は低いだろうな。


「教師の中に霊力を感じる人はいたか?」



「いないかったな、もう少し深く探ってみるYO」



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