退魔師の里帰り、帰郷弘前
まさか自分の住んでる所を小説に書ける日が来るとは
舞台は青森県弘前市になります
山っちと私は付き合っている、誰が何と言おうが恋人だ。
それを考えると、思わず顔がニヤけてしまう。
しかも、今日学校が終われば、山っちと旅行に行けるから朝からニヤけが止まらない。
「麗奈、顔が緩みっ放しだよ」
「兄貴と青森に行くのが楽しみで仕方ないんでしょ。学校が終わったら行くんだよね、月曜日が祭日で良かったね」
美保と夏希がニヤニヤしながら話し掛けてきた…普段ならムカつくんだけど、美保達には色々と世話になったから青森からお土産の1つでも買って来てやろう。
「それで何時に行くの?」
「4時にはやてに乗って弘前に着くのは9時過ぎ。グリーン車だよ、ヤバくね?」
しかも山っちのお父さんが贈ってくれたらしい…つまり、私は山田家に歓迎されている訳だ。
「はいはい、せいぜい青森でイチャついてきなさい。それでもうキスはしたの?」
美保が私が今一番触れて欲しくない話をした。
「…まだ…」
「兄貴は堅いからなー。流石にハグはしたんでしょ?」
「…それもまだ…」
「あんた、あれだけ山田さんと一緒にいるのに?まさか、まだ手も繋いでないとか?」
「…悪い?…」
恋人だからイチャついて当たり前なんだけど、いざ山っちの隣にいくと照れ臭くて手も繋げない。
前は平気だったのに、恋人って意識した途端に手が出なくる。
(私は小学生か!?山っちも山っちだ!!こんなに可愛い彼女が出来たんだから腕ぐらい組みたくなるのが普通じゃん!)
しかし、私の彼氏は坊主で教師と言う普通じゃない堅物なんだよね。
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私は学校が終わると、そのまま山っちとの待ち合わせ場所へと向かった。
美保達の言葉の所為何時も以上に山っちを意識してしまう。
「麗奈、そろそろ駅に行くぞ」
「ひゃ、ひゃい。分かったよ…山っち、手とか腕とか寒くね?」
我ながら可愛い甘え方だと思う、普通ならここで麗奈手が冷たい”のかってギュッとしてくるんだろうけど。
「俺は雪国青森の生まれだぞ。これぐらいで寒がる訳ないだろ」
(鈍っちー!!そりゃその年まで彼女出来る訳ないって。くー、どうやってこの鈍っちに感づかせれば良いのよ!!)
「山っち、弘前に行ったらやっぱり手も冷たくなるんでしょ?やっぱり弘前の恋人同士は良く手を繋ぐんじゃね?」
流石の山っちでも、これだけキーワードを出せば感づくだろう。
「雪道で手を繋いだら転びやすくなるんだぞ…麗奈、荷物を寄越せ。今のうちなら繋いでも大丈夫だしな」
山っちは私から荷物を取ると、顔を赤くしながら手を握ってきた。
(山っち、顔を赤くしてやんのー!!くー、可愛いー)
「山っち、麗奈ちゃんみたいに可愛い女の子が彼女になって嬉しいだろ?」
「嬉しいよ。でも可愛い女の子じゃなく麗奈だから嬉しいんだけどな」
(真顔でそんなくさい事を言うか…ドキッとしたじゃないか!!)
私の彼氏は手を繋ぐ時は顔を赤くした癖に、ホストみたいな事を平気で言ってくる。
新幹線の中で私と山っちは沢山話をした。
実習の話やバイトの話、前と変わらない内容なのにウキウキして時間がどんどん過ぎていく。
夕日が眩しくて下げた遮光カーテンを上げるのも忘れるぐらいに話に夢中になっていた。
新青森に到着して駅のホームに降りると、そこはあり得なぐらいに寒かった。
「山っち、何でこんなに寒いの?寒いを通り越して顔が痛いって」
「ホームだからあまり風が入ってこないだけまだましだよ、その様子じゃ乗り換えの電車をホームで待つのはきつそうだな」
当たり前だ乗り換えの電車が来るまで30分もあるっていうのに。
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麗奈は青森の寒さが堪えたのかホームに降りると口数が急に少なくなり、乗り換えの電車に乗っても麗奈は押し黙ったまま。
車窓から見える景色は、殆どが闇夜の黒と雪の白だけで構成された雪国の人間からしたら面白味の少ない景色。
「ちょっ、山っち雪の量がヤバくね?それに何でこんなに暗いの?」
しかし、冬の雪国に初めて来た麗奈は面を食らったらしく車窓から見える景色に釘付けになっている。
「今年は特に雪が多いらしいからな。灯りに関しては東京と比べられても困るんだけどな」
田舎の郊外で夜中でも明るいのはパチンコ屋かコンビニぐらいだ。
電車が止まり弘前に着いたとアナウンスが入る。
「弘前さ帰ってきたでゃ(弘前に帰ってきたな)」
「山っち、今なんて言ったの?」
麗奈が分からなくて当たり前だと思う。
「津軽弁、弘前の方言だよ。さっ、降りるぞ」
津軽弁は方言の中でも難解だと言われている。
違う地域の人に良く笑われるから麗奈も笑うと思ったんだが
「なんか山っちが分からない言葉使うの嫌だ。私の前で津軽弁を使うのは禁止だかんね!!」
麗奈は笑わずにむくれた。
「禁止って言われても弘前の人と話すと自然に出るもんだし、さっきのはまだ訛りがきつくないほうなんだぞ」
「あれで!?ぜっーたいに禁止だかんね!!」
「分かったよ、駅の裏口に迎えが来るから行くぞ」
「山っち、でもバス乗り場って書いてるじゃん。何でわざわざ迎えに来てもらうの?」
麗奈は東京生まれ東京育ちだから交通機関は便利なのが当たり前なんだろう。
「バス停を見れば分かるよ」
駅を出ると外は雪が絶え間なく降り、静寂と闇に包まれていた。
「山っち、積もった雪が人より大きいよ!!へー、積もった雪って踏むとギュッギュッて音がするんだ…バスが1時間に1本!?しかも9時で終わってんじゃん!!」
「だから言ったろ…わだ、今駅の裏口さ着いだはんで来てけじゃ(俺だよ、今駅の裏口に着いたから迎えに来てちょうだい)」
「また使ったー!!」
「家の人に標準語は使わないんだよ」
電話出たのは兄貴、その声はどこか暗かった。
幼馴染みが自殺して泥田坊になったんだから当たり前なんだけれど。
明けで一眠りしたら執筆します…青森関係者見てるかな?




