退魔師の里帰り、旅立ち
お土産には多数の方に協力をしてもらえました
感謝です
山っちの実家に持っていくお土産を決める為に色々と調べてみたんだけど。
「どうしよう。何を買えば良いの?」
山っちの故郷は青森県弘前市、人口18万人の東北の城下町。
有名なのは桜とリンゴ…そして人口に対するお菓子屋の割合が全国でもトップレベル。
「麗奈、お坊さんの家に持っていくお土産は決まったのかい?」
私が携帯を見ながら悩んでいると婆ちゃんが話し掛けてきた。
「まだ…婆ちゃん虎屋の羊羮っていくらだっけ?」
「学生がそんな高いお土産を買っていくもんじゃないよ…麗奈出掛けるよ、着いておいで」
そんな事を言われても今の私に出掛ける余裕なんてない。
「私は山っちの家に買っていくお土産を決めないと駄目なんだって」
「お坊さんの実家は青森なんだろ?あんたが着てる様な派手なだけの服じゃ風邪をひいちまうよ。服と虎屋の羊羮は婆ちゃんが買ってあげるから、きちんと向こうの親御さんに挨拶をするんだよ」
婆ちゃんはそう言うと優しく私の頭を撫でてくれた。
何時もなら子供扱いするなって怒るんだけど、婆ちゃんの手の温もりが私の心に染みてきてた。
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里帰りの報告をする為に本部に顔を出しに来たんだが。
「万知様、ご用はなんでしょうか?」
万知様が俺に緊急の用があるとの事で万知様の部屋を訪ねている。
「またまたとぼけてー、麗奈から聞いてるぞ!!しかも、もう実家に連れて行く何て大君もやるねー」
「万知様、緊急ではなかったのですか?」
「そう慌てないの。何しろ今回の大君の里帰りに麗奈は欠かせないんだから。良く聞いて、麗奈は大君を恐れずに着いて来てくれる希有な存在なんだよ」
確かに普通の女性は霊を怖がるし、命懸けも珍しくない退魔に着いて来てくれる人はまずいない。
「それは俺も分かっています」
「そうだよねー、仏道に背いても守りたいんだもんねー。それで大君の親御さんは何て言ってたの?」
仏道に背いてを万知様に教えたのは麗奈だろう。
そして万知様が知っているって事はサエッタ姉さんや柘植さんの耳にも入っていると思う。
「夜行バスじゃなく新幹線のチケットを送るから、それで帰って来いって言われたした。母親に至っては涙ぐんでいましたよ」
「そりゃそうだよね。堅物でモテない息子が女の子を連れて来るんだもん。しっかし、大君の彼女が美少女でギャルになるなんて流石の私も予想がつかなかったなー」
それはそうだろう、俺自身彼女が出来るなんて思わなかったんだし。
「万知様、用事はお済みになられましたか?」
これ以上いたら何を言わされるか分かったもんじゃない。
「用事はこれ、このお札を持って行けば良いよ」
「これは弁財天様のお札ですか?」
弁財天は七福神の1人として信仰を集めている神様。
「そっ、今回の退魔で必要になるみたいよ。お土産は一升南蛮をよろしく」
一升南蛮は醤油一升と麹一升、そして青南蛮(青唐辛子)を混ぜて作る俺の故郷の保存食。
辛くてご飯や豆腐にかけて食べるのがうまい。
「分かりましたよ、こないだ買って来たのはもう食べたんですか?」
「とっくの昔に食べちゃったよ。あれがあるとご飯が進んじゃうんだよね」
確かに一升南蛮はうまいが若い女の子の万知様が、ここまではまるとは思わなかった。
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いよいよ山っちの実家に行く日が来た。
山っちのお父さんが新幹線のチケットを送ってくれたんだよね、しかもグリーン車。
これは歓迎されている可能性が高い。
ちなみにお土産には婆ちゃんが虎屋の羊羮を持たせてくれたし、お父さんは年輪屋のバームクーヘンを持たせてくれた。
ちなみに私が選んだのは東京バナナのスカイツリー限界チョコバナナ味。
山っちのお母さんに、麗奈ちゃんわざわざスカイツリーに行って買って来てくれたんだって思ってもらえるかも。
「山っち、弘前ってネブタが有名なんでしょ?」
「ネブタは青森市で弘前はネプタなんだよ。小学生の時はネプタの笛を吹いたんだぞ」
そう言う山っちの顔はどこか誇らし気だった。
女性の方で麗奈の雪国用コーデを考えてくれる人はいませんか?




