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退魔師の決意

 虫と連絡を終えた山っちの眉間に深い縦皺が刻まれる。


「陽本明には霊能力はない筈だ。それなのに何で使役が出来るんだ?また消さなきゃいけないのか?」

魂を消す、前に山っちは初恋の人の魂を消した事があったって話してくれた。


「山っち、大丈夫?辛いなら無理に関わらなくても良いじゃん。私は辛そうな山っちを見るの嫌だよ」

しおらしく答えてみせる…このギャップ萌え攻撃は鈍感な山っちにも効く筈。


「麗奈ありがとな」

山っちは寂しそうに笑う。

思わず引き込まれる様に視線が重なり静けさだけが教室を支配する。


(なになに?良い雰囲気じゃん!!)

次の瞬間


「マスター!!バッチリ書き写してきました!!」


「このお約束お邪魔虫!!覗いてんじゃーねよ」

私は虫の狙った様な登場にしおらしさを忘れて思わず叫んでしまった。


(やばっ!!山っち呆れてないかな?)

山っちを見ると虫が書いてきた小さなメモを真剣な表情で見つめている。


「これはヤバイな…麗奈、万知様に連絡をしてくれ!!陽本明は呪術に手を出した。俺は熊川先生に協力をしてもらって座間先生と話す機会を作ってもらう」

山っちの顔は何時になく真剣だ。


________________


 「麗奈どったの?ついに大君からコクられた?」

茜は話をしてみるとのりの良い普通の女の子。


「茜使い魔を永遠に送り返す方法って知らね…じゃなく、山っちが呪いだから茜に連絡しろって」

私は事の顛末を茜に伝えた。


「イケメンの実習生にオカルト研究会の子か。鈍感な大君にはちょっと荷が重いかもねー」

確かに山っちに高校生の恋愛相談は無理っぽい。


「でも茜呪いなんてマジにあんの?なんかうさんくさくね?」


「あるよ。とりあえず本物かどうか確かめなきゃ」

茜、ブランド品じゃないんだから。


「元は印刷だって言うし虫が書いたから小さくて写メれないよ」


「万知様を舐めたらいかんぜよ。麗奈、その紙に手をかざしてみ」

私は茜に言われた通り、紙に手をかざした。


「ほうほう、これはどこで手に入れたか調べさせないとな…おーい、調査班ー仕事だぞ…それじゃ麗奈には呪詛返しを掛けとくね」


「これ、マジもんなの?印刷だよ」

てか、あれだけで分かるんだ。


「マジもんもマジもん。それに印刷だから逆にヤバイの。きちんと手続きを踏んでないから発動したら激ヤバ。くそ高いライブに偽物のチケットで入ったのがバレたらどうなる?」


「そりゃ金を取られるかライブから追い出されるに決まってんじゃん!」


「そ、呪いってのは力ある神霊に代償を払わなきゃ成立しないの。しかもこの手の神霊すごいキレやすいんだ。騙されたと思ったら無理やりにでも代償を取るくらいに何とも思わないんだよ…今回の代償は最低でも陽本明の命と使役された霊の魂、下手をしたら関わった人間の命を根こそぎ持っていってもおかしくはないんだ」

関わった人間は池谷や池谷に口説かれた生徒や陽本明を馬鹿にした生徒…それに山っち。


「それってヤバ過ぎじゃん!!山っちは大丈夫なの?」


「あー大君は力は貸してくれないけど守ってだけはくれる存在がいるから大丈夫だけど生徒を救えなかった時はヤバイね…自分を責めまくると思う」


「茜どうしよう。私、山っちと離れたくない!!折角、山っちが好きだって気づいたのに、まだ気持ちも伝えてないのに」

涙が次から次へと溢れてくる。


「大丈夫、能力者互助会をなめなんさな。大君はダチの男なんだし私にとっても口うるさいけど大切な兄貴分なんだから守るよ。安心しな」


_________________


 走る、走る、とにかく走る。

目指すは生徒指導室。


「熊川先生、失礼します。厄介な事になりました!!」

俺は驚いてる熊川先生に事情を伝えた。


「マジか…山田の力で何とかならないのか?」


「俺の力じゃ…人間の力だと呪いが発動したら無理です。陽本さんが他の人に干渉する前に2人の霊を成仏させるしかありません」

今ならまだ魂鎮めを行えば修まる可能性がある。


「分かった、座間先生に連絡をしてみる」

座間先生に信じてもらえたとして間に合うか。

とりあえず、あの人にも来てもらう。

10分ぐらいしてから座間先生が来てくれた。


「熊川先生、急にどうされたんですか?それに山田先生も」


「事情は後で話します。先ずは椅子に座ってもらえますか?…霊脈を開きます」

麗奈と時と違って今は時間がない、それにあの人を見たら座間先生も納得してくれる筈。


「山田先生、何をするんですか!!…貴方は海路(かいじ)

俺が予め呼んでおいたのは座間先生の弟さんで学校の階段で亡くなった海路さんの霊。


「姉さん、久しぶり。今は結婚して座間先生になったんだよね。おめでとう」

ちなみに座間先生の旧姓は長谷川だそうだ。

じゃなきゃザマスにザマミロの姉弟になるんだし。


「そこのお坊さんに頼まれて来たんだよ…姉さん、このままじゃまた悲劇が繰り返されるんだ」

俺は座間先生に今までの事を伝えた。


「まさか陽本さんが…もう少し彼女の話を聞いてあげれていたら」

座間先生の目から悔し涙が零れ落ちる。


「まだ間に合います!!このままじゃ取り返しのつかない事になります」


クリスマス幕間どうしよう

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