迷探偵?プリム
薄幸の美少女と言う言葉があります。
まるで僕の為だけにある様な言葉。
マスターから陽本明と言う少女に憑いてる様に命令されているんですが
(なんなんですか、この娘は?学校で黒魔術大全なんて読んで。それに霊も妖精も居ないのに空中に話し掛けてるし…はっ、僕のあまりの可愛さに現実逃避したんですね)
それなら大いに納得。
もう1つ陽本明に大きな不満があります。
それは休み時間になる度に池谷保守人さんと言う教育実習生を物陰からジッと観察してニタニタするだけ。
(こら!!話し掛けないとフラグはたたないんだぞ…でも神様は不公平過ぎます。マスターと池谷さんじゃ性別が同じだけで天と地の差があります)
同じ教育実習生なのに、こんなにも差があるなんて!!
顔、センス、生まれ、人気、どれをとってもマスターの完敗です。
それが如実に現れたのはお昼休みでした。
池谷さんの周りには黄色い声をあげて可愛らしいお弁当を差し出す女子なのに
「山田先生のオムライスまじやばくね?うますぎ」
「美保はピリ辛だっけ?一口もーらいっ」
「僕の和風も食べてみる?」
マスターの周りの女子は作ってくれたマスターを放っといてトーク中。
折角新しい出会いがあるのに生意気女がマスターの隣を陣取り他の女子を牽制をしている。
(無駄な努力をして愚かな…マスター異性としての魅力は皆無なんだよっ!!マスターの魅力は料理の腕と上等な霊力!!)
「山っち、なんか虫が1人で騒いでんだけど」
「気にするな…大方池谷が格好良いから舞い上がって念話を切るのを忘れてんだろ」
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放課後、僕は陽本明に憑いてオカルト研究会の部室に来ているんですが、ふと本棚を見ると¨世界の妖精大全集¨フェアリー×ゴブリン禁断の愛¨なんて信じられない本がありました。
(なんで純真可憐なフェアリーをオカルト扱いしてんだよ!!それにフェアリー×ゴブリンのカップリング?ありえないつーの)
ゴブリンなんて見た目も稼ぎも悪くて旦那にしたくない妖精No.1なんだからな。
そんな事をしてると陽本明は鞄から1枚の紙を取り出しました。
文字は黒くプリンターで印刷された物だと直ぐに分かりましたが、禍々しさは充分伝わってきます。
陽本明は紙を見るニヤリと笑いました。
(や、やばすぎる!!文字も陽本明の笑い方も…ウキャーッ!!指を切って血を垂らしたー)
そして黒かった文字は血を吸い取り始めて赤黒く変色していき
「アハッ、アハハハッ…これで池谷先生は永遠に私だけのもの。そして私を馬鹿にした奴は呪われるのよっ!!」
陽本明は長い髪を振り乱しながら狂った様に笑い続けています。
そしてその後ろには明らかにこの世の方ではない人がお2人。
こ、ここは
(マスターに報告だ。決して逃げではない)
そう思った瞬間、マスターから念話が届きました。
(プリム、その紙に書いてる文字を書き写してから帰って来い)
なんて酷いマスターなんだ!!
こんなか弱いフェアリーちゃんをいじめるなんて
(虫、あんたの念話だだ漏れだっつーの!!それと山っちの魅力は私が分かってるから問題ないからね)
…つまり今日1日僕は念話を飛ばしまくっていたと。
不味い、このままじゃ食っちゃ寝生活&無料霊力補給がなくなってしまう!!
(ここはマスターの忠実な使い魔プリムにお任せ下さい。バッチリ陽本明のスリーサイズも調べてみせます)
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…虫との念話を終えた山っちは頭を抱えていた。
確かにあれと会話を続けるのは疲れる。
「山っち虫の言った事気にしてんの?虫には山っちの良さが分からないんだって」
山っちの良さは私が一番知ってるし。
「俺に魅力がないのは自分が一番知ってるよ…陽本明は霊を使役した、そしてその霊は七不思議の霊だ」
山っちが哀しそうにつぶやいた。




