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15年の想い

 体育館の少女の名前は佐藤友里恵、熊川鉄梧とは中学年の3年間同じクラスだったとの事。

熊川鉄梧は柔道、佐藤友里恵はバドミントンの特待生としてそれぞれ違う高校に進学。

そして4年前に熊川鉄梧は柔道部の顧問として聖マリアンヌに呼ばれたらしい。


「山っち、熊鉄に友里恵さんの説得を頼むの?」


「2人の関係がはっきりしないと微妙なんだよな。それに佐藤友里恵にしてみれば中学のクラスメイトが大人になって現れたら混乱する可能性も高い。何より熊川先生が協力してくれるか微妙だろ?」

熊川先生にしてみれば佐藤友里恵の事は他人に触れられたくない可能性がある。



「まあね、昔のダチが幽霊になってるなんて言われたら、いい気分はしないよね」


「この写真を見る限りは仲が悪いって訳じゃなそうだしな。麗奈、熊川先生って結婚されてるのか?」



「あの熊鉄を好きになる女なんていないって!!何かって言えば生徒を叱るんだよ、顔は厳ついし、いっつもジャージで腕毛もボウボウだし」

俺としては熊川先生は手本としたい先生なんだが麗奈みたいな生徒からすると熊川先生は天敵みたいに思えるんだろう。



「顔が厳つくて説教する男が結婚出来ないんなら俺も独身が確定だな」


「そうだね、山っちは女の子が喜ぶ言葉は言わないし、鈍感だし、積極的じゃないし、誰にでも優しいし、よっっっぽど山っちの事を理解してくれる娘をきちんと捕まえておかないと確定だよ」

何故か麗奈の気が強まっている。


「なんだか、ダメ出しばかりだな」


「悔しかったら、1つでも克服して麗奈ちゃんを喜ばせてみろ!!」

麗奈が真剣な目で俺を見つめてきた。


「くぉら!!なんだ、そのラブコメ展開は?僕の事は虫だけに無視ってか…って、誰が虫だ!?僕は森のアイドル、フェアリーだー!!」

放っておかれたのが気に食わないのかプリムが怒鳴り声をあげる。


「く、空気を読んで部屋かいなくなるとか出来ないの?このお邪魔虫!!」

教育実習が終わったら、麗奈に気持ちを伝えてみるか。


_______________


 

 今日は男子の柔道を私達女子が護衛の勉強も兼ねて見学。


「お前ら、さっきから誰も1分もってないぞ」

男子の不甲斐なさに熊鉄が叫ぶけど、体格も違うし経験もない生徒には酷な話だっつーの。


「熊鉄、気合いはいってんねー、誰が最初に1分超えすると思う?」

「大穴で健次にジュース1本」

その声に合わせて次々に女子は男子にジュースを賭けだした。

(みんな知らないんだよね、山っちの強さを…これはチャンス!!)


「私は山っちが1本取るのに賭けるよ」


「麗奈って、本当に山田先生推しだよね。熊鉄は柔道の顧問だよ?」


「麗奈、ずるい。僕も兄貴に賭ける」

「私も山田さんだな」

結果、山っちに賭けたのは私と美保、夏希。


「次、実習生の山田こいっ!!」


「はいっ!!胸を借ります!!」

結果は私達3人は大量のジュースをゲットした、熊鉄と繋がりをもちたい山っちが本気をだすのは予想できたしね。

だけど、計算外の事がおきた。

それは山っちに興味をもつ生徒が現れた事と熊鉄が山っちを気に入って指導を始めた事。


(家庭科の山っちの手料理は死守してやる!!)

絶対に美保と夏希も山っちの料理を狙ってくるんだから分け前はこれ以上減らしたくない。


_________________


 放課後、職員室で今日のまとめをしていると熊川先生が声を掛けてきた。 


「しかし、山田は強いな。まさかあんなに簡単には1本取られると思わなかったよ…お前の名前は変わってるけど実家は道場でもやってるのか?」


「実家は寺ですよ。俺を教えてくれた人が知識だけじゃなく身体も鍛えなきゃ立派な僧侶になれないって考えの人でしたので」

俺の話を聞いた熊川先生の眉間に皺が寄る。


「坊主か…まさか、幽霊が見えるんじゃないよな」


「見えますよ。ちなみに熊川先生の守護霊は母方のお祖母さんですね¨てっこ、人参を残すんじゃない、それとてっこもいい年なんだから生徒の幸せばかりじゃなく自分の幸せも考えなさい¨そう仰ってます」


「本当か…でもてっこ、なんて呼び方は婆ちゃんしか言わないしな…山田、七不思議は聞いたか?」

守護霊に情報を聞いて信頼を得るのは俺が良く使う手だ。


「聞きましたし確認もしました。進学科と屋上の霊は祓いましたよ…体育館は熊川先生の協力が必要なんですよ」


「佐藤さんはまだ体育館にいるのか?」

熊川先生は佐藤友里恵に片想いをしていたらしい。

そして2人で全国に行けたら気持ちを伝えようと努力していた矢先の事故だったとの事。

だからマリアンヌから誘いがあった時には直ぐに了承したらしい。


「15年も片想いしてたなんて笑えるだろ?」

そう言って笑った熊川先生の顔はあの写真と同じく汚れがないものだった。


 熊川先生は体育教師だけあり、部活後の体育舘の使用を許してくれた。


「山田これからどうするんだ?それとなんで藤川がいるんだ?」


「藤川さんには色々と協力してもらっているんですよ。麗奈、ドアに鍵を掛けて四隅にこの御札を貼ってくれ。熊川先生はバドミントンコートの前に正座して下さい」


_________________


 それは不思議な光景。

山っちがお経を唱え終わるとバドミントンコートに佐藤友里恵がいた。


「あれ、熊じゃん。正座して何かやらかしたの?」


「佐藤さん、久しぶり…親父になったのに良く俺だって分かったね」


「熊が日お祈りしてくれたからね…熊、少し生徒に厳し過ぎだぞ。可愛い生徒に嫌われてるよ」


「俺が嫌われて彼奴らが道を違えなきゃ良いんだよ」


「熊、大人になっちゃったね…私は置いてけぼりだ」


「佐藤さん、俺佐藤さんの事好きだ!!今でも好きだ!!」


「本当は全国に行けたら私からコクるつもりだったのに…悔しいな、やっと気持ちが通じたのにお別れだよ」

佐藤さんは泣きながら微笑んでいた、熊鉄…熊川先生の顔も涙でぐしゃぐしゃ。



山っちと私は体育館をそっと後にする。


体育館の中では15年越しの恋が実りそして終わりを迎えた。


高校の家庭科ってなに作るか分かる方いたら教えて下さい

ちなみに今日作者はトウチジャンとコチ醤使って麻婆豆腐を作りました。

今回の話はくさくてひかれかないか心配です

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