退魔師の墓穴?
体育館からは元気な少女達の声が聞こえてきている。
「麗奈に着いて来てもらって正解だったよ。俺1人だと白い目で見られてたな」
「でしょ、でしょ。やっぱり山っちには私がいないと駄目なんだって。さっ、中に入るよ」
麗奈は満面の笑顔で俺を手招きしている。
「外からでも分かるから大丈夫だよ。体育館の近くで人目につかない場所はあるか」
女子生徒しかいない体育館の近くで目をつむって精神統一してる教育実習生…言い訳が出来ないぐらいに怪しいと思う。
「お約束の体育館裏かな?体育館裏は告白スポットなんだよ。山っちは体育館裏に思い出とかある」
「高校の先輩に呼び出し食らって返り討ちににしたぐらいだよ」
恐喝やいじめをしてた連中だから反省させる為にもボコボコにしたんだよな。
「やっぱり山っちはそっち系の思い出になるんだね。この時間はサボりの奴もいないから人はいないと思うよ」
「やっぱりってなんだよ…人が来たら気まずいから見といてくれ」
目をつむって精神統一する…
体育館の中にいる霊は5体、うち3体は浮遊霊で1体は色情霊…
あれだな、右腕から血を流してる少女が懸命にスマッシュを撃っていた。
「山っちやっぱりいたの?」
「どうやら交通事故で亡くなった人みたいだ、右手に大きな怪我をしている。亡くなる直前までバドミントンが出来なくなる事を悔やんだんだな」
きっと薄れいく意識の中でボロボロになった大切な右腕を見ていたんだろう。
「ここからでも語りかけれるの?」
「確実にしたいから人がいなくなってからまた来るよ。次は屋上に案内してくれ」
夕暮れになりかけてるら丁度良いだろう。
「でも夕暮れに屋上のフェンスちかくにいると誰かに背中をおされるって何か曖昧じゃん」
普通の七不思議なら何らかの理由付けがされている筈…
しかし、穿って見れば理由をつける必要がないぐらいに体験した生徒が多いのかもしれない。
「この話で一番重要なのは理由より時間が夕方って所だからな。麗奈、逢魔が時って聞いた事あるか?」
「なんか怪しい物が出る時間なんでしょ?漫画でみた事あるよ」
「夕暮れは昼から夜に移り変わってい時間だから何故か物悲しくなるだろ。だから魔に魅入られちまうんだよ」
ましてや電気のない時代はそこに漠然とした不安もあっだろう。
「そして山っちは階段を歩く麗奈ちゃんのスカートの中に魅入られると…山っちったら強引に自分の足元を見ちゃって、山っちになら見られても平気なんだけどな」
「頼むから煩悩で集中力が途切れる様な事は言わないでくれ」
自分でも嫌になるぐらいに顔が赤くなる。
「おっ、顔を赤くしてさては妄想してるな。山っちのスケベ…ちなみに今日はピンクなんだよ」
煩悩退散、煩悩退散、精神統一、精神統一、精神統一、精神統一…
これぐらいで心を乱されてしまうとは修行をし直さなければ。
「…麗奈、少し静かにしろ。屋上にはあまり良くない霊がいるみたいだ…それと屋上に行く前に深呼吸をさせてくれ」
麗奈はそんな俺をニヤニヤしながら見てメールを打っている、相手は絶対に万知様だ。
万知様から柘植さんとサエ姉さんや師匠に伝わって組織に広まるんだろう
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屋上にいたのは30歳ぐらいの男性の霊。
事前に調べた情報に12年前聖マリアンヌ覗き目的で忍び込んで転落死した男性がいた、そしてその死は生徒には伏せられている筈。
当然、男性の霊は成仏が出来ない。
更に学校の中には十字架や聖書があるから屋上から動けないんだろう。
だから男は屋上に来る生徒に自分の存在をアピールしていたんだろう。
でも気付いてもらえたのは逢魔が時だけだった当然。
「まずは自分の行いを反省して下さい。煩悩や欲を捨て己の行いを省みるんです」
そうは言ったがこれだけ煩悩に飲み込まれていたら祓うしかないだろう。
「うわっ、先まで自分も煩悩にまみれていた癖に」
「俺があんな風になったのはお前だからなんだよ。麗奈以外の女に欲心を起こしてたまるか」
…失敗した、麗奈がドン引きする前に霊を祓って帰るとしよう。何とか乱れる心を沈めて霊を祓った。
麗奈の顔が赤いのはきっと夕日の所為だと思う。
麗奈はお気に入りのキャラです。 そう言えばギャルのヒロインって珍しいかも




