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山っちと私の関係

山田と麗奈が仲良くなった時の話です

 山っち達、退魔士は穢れに侵された霊を祓うのが主な仕事みたい。


「それじゃさ、穢れた霊に取り憑かれた人はどうなっちゃうの?」


「分かりやすい例で言うと俺とお前が話す切っ掛けになったトラブルを覚えてるだろ?」


「えっ?!あれってそうだったの?」


――――――――――


  高校生になった私は美保と一緒にコンビニでバイトを始めた。


「麗奈、バイトに行くよ」


「あー、またあの無愛想デブと顔を合わせなきゃいけないの?マジ店長に頼んでシフトを変えてもらおうかな」

今は逆に山っちと一緒になる様にお願いしてるけど。


「山田さん仕事を丁寧に教えてくれるから良いじゃん。それに山田さんだって挨拶しただけで"うわっ、キモっ"とか言われたら話し掛けてこなくなるよ」


「だってデブでキモいじゃん!!絶対にあいつは童貞だよ、彼女すらいた事ないよ」

この頃、私の山っち対する印象は最悪。

客には愛想が良い癖に、私達には説教をしてくるキモデブ山田扱いをしていた。


当然、会話どころか挨拶すらしない仲。

でも、この間美保に

"最初は挨拶もしなかった娘が今じゃ暇があれば一緒にいるか電話だもんねー。良く会話がつきないもんだよ"

そうからかわれた。

まあ、私が一方的に避けていただけなんだけだし。

その頃、バイト先のコンビニにヤンキー6人組がたむろする様になっていた。

そいつ等がいる時間は客も寄り付かなくなり、ある意味営業妨害。

でも私は楽にバイトが出来るくらいにしか思ってなかった。


そしてある日のバイト終わり。

「ねえー、これから俺達と遊ばね?」

「2人ともレベル高いから朝まで遊べんじゃね?」

「お前は早いから速攻終了だろ?どっかの親父みてにドリンク飲めば?」

「誰かコンビニでパクって来いよ」

ナンパにもならない最低の絡み。


(麗奈、隣のクラスの娘こいつらにボロボロにされたって話だよ。どうしよう、やばいよ)


(美保、シカト、シカト。行くよ)


「うわっシカトだよ。冷たいー、僕ちゃんショックー!!」

「ねーねー家どこ?送ってくよ」


「はっ?車もバイクもない癖にどうやって送るつもり?キモいから帰んな」


「ちゃんと俺達の上に乗っけてやるよ」


「やだ、触らないでよ」

いつの間にか私と美保はそいつ等に囲まれていた。

そして私達は手を強引に掴まれて人気のない路地裏に連れて来られた。

あの時はマジにやられるのを覚悟してたな。

そんな時だった、あの独特なセリフを初めて聞いたのは。


「ったく、ここまで取り憑かれると同情の余地もねえな」

山っちだった、暗がりで分からなかったけど怒っているのだけは分かった。


「お前コンビニにいたデブじゃねえか。ボコラれたくなきゃ…ぐふぇー!!」

山っちに絡んだ男が一瞬にして吹き飛ばされる。


「お前らみたいなガキには説教も無駄だからな。手荒く祓ってやるよ」

山っちの迫力に飲まれたヤンキー達が固まる。

その時、美保が私の腕を掴んで走り出した。

後から聞いたら山っちが目で逃げろと合図をしたらしい。

私と美保はとにかく走った、走って走って気づけばバイト先のコンビニにいた。


「店長、山田さんが私達を庇ってあいつ等とケンカしてるんです。警察を呼んで下さい」


「山田君なら大丈夫だよ。君達は親御さんに迎えに来てもらいなさい」

そしてうやむやなままに私達は家に帰ったんだよね。


次の日、バイト先によると山っちは平気な顔をして働いていた。

私と美保は気まずくて何も聞けなかったけど山っちは一言こう言ってくれた。


「無事で良かったですね」


それは私達の無事を心から喜んでくれている暖かい笑顔。

それから山っちの無愛想は照れ隠しと分かって、段々仲良くなって、話しやすいバイト先の先輩、仲の良いバイト仲間、よく遊ぶ年上のダチに変わっていった。


そして今は大切な大切な大好きな人。


――――――――――


 「それでアイツ等に穢れた霊が憑いてたの?」


「相互作用と言うのか、穢れた霊の影響であいつ等が悪さをする、その影響で霊の穢れが濃くなる。流石にあそこまで穢れに侵されると消すしかないからな」


「消すって霊を?消されたら魂はどうなるの?」


「虚空に帰るって話だ。輪廻の輪から外れてただの霊物質に戻り、大気に融けてやがて消えてしまうらしい」

その時、山っちは一瞬寂しそうな顔をしていた。

その理由を知ったのは、それからしばらくしてからだった。



次は山田さんの過去です。

明日はザコを更新します。

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