麗奈と修行
今だに信じられない。
山っちの師匠がReijiだなんて。
別に有名人が師匠だから信じられないんじゃない。
あのちょい悪や悪羅悪羅系のモデルをしているReijiと堅物山っちが師弟関係なのが有り得ない。
「大、俺は仕事に行くから報告を忘れんじゃねえぞ。」
「はい、師匠も疲れを残さない様にして下さい。お荷物お持ちしましょうか?」
山っちはそう言うとReijiに向かって頭を下げる、見た目的にはチンピラとその舎弟。
「大、何回言ったら分かるんだ。お前みたいなごついのがそんな態度をとるから俺が誤解されちまうんだよ。ったく、お前はとっと修行を開始しやがれ」
山っちの"ったく"はReiji譲りだったんだ。
結局、山っちはReijiが門から出るまで頭を下げていた。
山っち、それはある意味嫌がらせだよ。
「それじゃ麗奈行くぞ」
私は山っちの後に着いて修行場に入ったんだけども、ここは本当に修行場何だろうか。
私の修行場のイメージはお寺や滝とか。
「山っち、ここが修行場なんだよね?ありえなくね?」
でもここにあるのは石畳に赤レンガの可愛い建物に噴水でイタリアな感じ。
「元がイタリアの街並みを再現したテーマパークだったから、それをそのまんま再利用したんだよ、建物が修行の手助けをしてくれる訳じゃないだろ」
「えー、雰囲気って大事じゃん。これだとリゾートに来た気分だよ」
山っちとイタリアか…なんか新婚旅行みた…く、ないない。
山っちがはっきり言ってくれるまで、全部お預けなんだから。
「心配するな。建物の中は本格的な修行が出来る様になってるから」
山っちはそう言うと近くのレンガで出来た建物に入って行った。
…雰囲気ぶち壊し、赤レンガの建物の中にはそこら中に難しい漢字が書かれている。
「現場班の山田大明です、施設を使わせてもらいます。…はい、IDカードはこれです」
さらに修行の雰囲気もぶち壊し、IDカードって。
「山っち、あの見たことない漢字はなんなの?IDカードって雰囲気ぶち壊しじゃん」
「あれは梵字だよ、建物の結界の役割を果たしてる。IDカードで個人を特定して組織のデータベースと照会してからじゃなきゃ修行場が使えないんでな」
――――――――――
麗奈が退魔士になれるかどうかはまだ分からない。
「ねえ、山っち修行って滝に打たれたり座禅組んだりするの?あー、滝に打たれて透けた私を見るつもりだな、このスケベ」
「滝に打たれたくらいで能力が強くなるんなら俺は年中滝に打たてれるさ。あれは精神統一の手段だよ」 自分を苦しめたからって御仏から力を貸して貰える訳がない。
「それじゃ何するのさ。第一、私は山っちと違ってお経なんて読めないんだよ」
「能力を見てからじゃないと分からないけど、麗奈は事前調査班向きだな。お前は初対面の人は苦手じゃないだろ?」
事前調査班に必要な能力に社交性もある、ちなみに俺は知らない女性と話すのが苦手だから無理だったりする。
「まあね。初対面の可愛い女子高生に無愛想な態度をとるごつい大学生以外なら平気だよ」
「ったく、またそれを言うか。まずは麗奈に俺の霊力を流して霊力を体感してもらう」
「ねっ山っち、流すってキス?山っち、役得じゃん。…まさか山っち、Reijiともキスしたの?」
こいつはどうしても俺を生臭さ坊主にしたいらしい。
「何で俺が師匠とキスしなきゃいけないんだよ、気持ち悪い。うなじの辺りにある経絡から流すんだよ」
「それじゃ髪をあげるね。ねっ、山っち、麗奈ちゃんのうなじは魅力的だろ?やっぱり役得じゃん」
確かに麗奈のうなじは妙な艶めかしさがあった。
これを他の男も見た事があるんだろうか。
「…少し待ってれ。気が散ったから結跏趺坐を組む、乱れた気を流す訳にはいかないからな」
「あー、私のうなじで気を乱すなんて。山っちのスケベ」
「違うつーの。お前のうなじを他の男も見たかと思ったらムカついただけだ!!」
「ほほう、お主妬いたな?うーん、可愛い奴。山っち安心して。麗奈ちゃんはまだ清い身体だから。そだ、茜ちゃんにメールしとこ」
それは安心はしたけども
「麗奈待て、万知様に伝わったら組織中に広まる」
そうしたら万知様だけじゃなく柘植さんやサエ姉さんも俺を弄りだす。
「もう遅い。ほれっ山っちは黙って集中する」
「ったく、分かったよ…」
「山っちここ暑いねー、一枚脱いじゃーおかな」
「…………」
「山っち、麗奈ちゃんてキスもまだなんだよ。安心した?」
「麗奈分かったから安心したから大人しくしてくれ。集中ができんっ」
俺がキチンと集中出来たのはそれから30分してからだった。
師匠、これは俺の修行でもあるんでしょうか。
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山田と麗奈が出会った時や仲良くなった時の幕間も書きたいです




