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組織と万知様

ようやく組織の概要が

 シスター・アーミーの本名は鬼瓦亜美であった。


「それで鬼瓦さんは今年で何歳なんですか?」


「私、鬼瓦の名字あまり好きじゃないんだよね。ほらっ私の可愛さを損なうじゃん。あっ、年は18歳の高校3年生だよ。こんな可愛い高校生と絡めて嬉しいでしょ、オジサン」

当然、オジサンは俺の事だと思う。


「うわっ、高3にもなってお世話になった人にマトモな言葉遣いも出来ないの?それじゃ就職絶望的じゃね」

言葉遣いに関しては麗奈も似たようなものだと思うんだが。


「麗奈茶化すな。鬼瓦さん貴方はある程度の霊能力はあるみたいだけどきちんと制御出来ていない様です。恐らく今後も似たような事があると思いますよ」

特に簡易とは言え霊能力を付与した球は霊を引き寄せてしまう。


「えっ!!あのオバサンみたいのがまた来るの?勘弁してよね、おじさん私のボディガードしてくんない?お礼にデートくらいしてあげるからさ」


「はっ?馬鹿じゃね。山っちがあんたなんかとのデートを喜ぶ訳ないじゃん。つーか山っちが私とデートしてたの分かんないの?」

何故か麗奈は必要以上に鬼瓦さんにきつく当たるのは気のせいだろうか。


「四六時中張り付くなんての無理ですよ。貴方には修行し直しをお勧めします」


そんな時俺の携帯が鳴り響いた、この音は万知様からだ。


"だーい君、デート中ごめんねー。麗奈ちゃんと例の占い娘を組織に連れて来てちょうだい。あっお土産はチーズケーキね"


"万知様、あれ程力の無駄遣いは控える様に言ったではありませんか。それに組織の機密がバレたらどうするですか?"


"私の力で問題なしになってるから平気。占いの娘はうちで修行してもらうから。それじゃ待ってるね。あっジュースも忘れちゃ駄目だよ"

どうして俺の周りの女性はマイペースな人ばかりなんだろうか。


「麗奈、鬼瓦さん2人をこれから俺が属している組織"能力者互助会"に案内する」


手回しが良いと言うか何とか言うかアミューズメントパークの外には組織のワンボックスカーが待機していた。


――――――――――


 能力者互助会、その歴史は古い。

始まりは平安時代に遡る、政争に破れた陰陽師や歩き巫女、山伏等様々な能力者が身の安全を確保をする為に手を組んだのが始まりらしい。

最初は病気の時に悪霊に憑かれない様にする為や政争や戦いに敗れて行き場を失った者が逃げ込む為の場所であったそうだ。

それが人数や規模が増えるにつれて生まれ付き能力が高い者を保護し育成する様になった。

なにしろ力の使い方が分からない能力者は霊や妖怪の格好の餌食になるだけではなく、人間社会からも孤立しかねない。

今じゃ互助会は全国組織となり、下部組織で人材派遣業を経営して霊や妖怪の問題に対応している。


「まっ、それが俺の属している能力者互助会の概要だ。早い話が特定の宗教に拘らず能力者の保護、育成から霊障の治療からお祓いまで幅広く対応しているんだよ」


「へー、で山っち、万知様って誰なの?随分と若い声だったじゃん!しかも大君なんて呼ばれて鼻の下伸ばしてキモい」

麗奈、そう言って頬を膨らませてソッポをむいた。


「万知様は代々俺達の組織のトップを勤める巫女の総称だよ。当代の万知様は麗奈と同い年だ。大君ってのは修行時代に懐かれた時に付けられたら呼び方、妹みたいなんもんだ」


「へー、妹ねー。最近じゃ近親相姦なんてのも聞くよねー」

今度は麗奈はジト目で睨んできた。


「ったく、どうして、そっち持ってくんだよ。万知様は次代が見つかるまで結婚を禁止されてるんだぞ」


「うわっ、何それ!!酷くね?人権侵害じゃん」


「妊娠すると体調が崩れて悪霊や妖怪に狙われちまうんだよ。未婚を通した万知様もいれば二十代で結婚した万知様まで様々な方がいたらしい。それに万知様に先見の御力が備わってるから、ある程度の覚悟は出来てらっしゃる。…何故か分からないが当代の万知様は麗奈に興味を持たれてるから根掘り葉掘り聞かれると思うから覚悟しとけよ」


「へー万知様って分かってるじゃん。でも山っちは"余計な事は言うなよ"とか言わないの?」


「万知様には年の近い友達がいないからな。お前が話相手になれば少しは気が晴れるだろう」

俺を含めて組織の人間は万知様としか見れないんだから。


―――――――――


 私達を乗せた車が入ったのは8階建てマンションの駐車場。

特徴と言えばオートロックがあって少し高級な感じがするくらい。


「ねっ、山っち。ここのマンションなの?お寺とか山じゃないの?」


「修行する場所は別だよ。ここに本部と人材派遣会社、それに地方からきた組織の人間の宿泊施設とかがあるんだよ」


「へー、もう少し雰囲気たっぷりな場所を想像してたけど普通だね」

駐車場を降りてもマンションに入っても普通だった。


「これでも色んな所にお札やら経文、魔法陣が隠してあるんだぜ。万知様は3階でお待ちだ」


「3階、最上階じゃないんだ」


「一々最上階まで上がるのが面倒だと万知様が言われてな」

確かに最上階でデンと構えるなんて面倒だよね。

山っちが私達を連れて来たのは普通のマンションの1室。

山っちがインターホンを鳴らして中に声を掛ける。


「万知様、山田です。2人を連れて来ました」


「大君おそーい。うわっこの娘が麗奈ちゃん?大君だけに大金星だねっ。あっ私は佐藤茜、みんなは万知様なんて呼ぶけど茜で良いよ」

佐藤茜と名乗った少女は元気よく私に握手を求めてきた。

茜は長い黒髪の綺麗な女の子、色白で体系は色んな意味で細い。

大人しくしていれば和風な美少女といった感じ。

そしてこれが私と親友の万知様こと佐藤茜との最初の出会いだった。


そう言えば山田さんの出身地決めてませんでした。

帰郷編を書きやすくする為に作者と同じ青森の弘前にするか考え中です

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