表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/73

拭えぬ不安

 僕が一番お気に入りの乙女ゲー武将な彼氏(通称ブショカレ)を堪能していると携帯からうるさい音楽が流れて来た、礼儀知らず女だ。

僕とリッキュン(千乃利休)のスウイートタイムを引き裂くなんて信じられない。


「山っち、夏希が男に殴られたんだ。心配だから夏希の家まで送ってもらえるかな?」


マスター、不倫の次はDVですか。

マスターは退魔士じゃなく探偵か弁護士になった方が良いと思います。


「もしかして例のサイト絡みか?」


「構ってくれないから携帯を取り上げたら人が変わったみたいに暴れたんだって、現実の彼女よりゲームの女を選ぶなんてありえなくね?」


その彼氏はまだ甘ちゃんだ。

現実とゲームのを両方を楽しんでこそ、真のゲーマーなのに。


「それでその彼氏はどうしてるんだ?」


「電話にはでないけど部屋に明かりが着いてるみたいだから部屋にいるんじゃね?山っち、しばいてくれるの?」


おお、彼女を殴ってからゲームをするとはネトゲ廃人の認定をしてあげよう。

礼儀知らず女、そんな事をしたらマスターが捕まるじゃないか。


「アホか!そんな事をしても何の解決にもならないつーの。佐山さん家は麗奈の家からだと30分ぐらい掛かるな」


「山っち、夏希の家知ってるんだ?へー、そうなんだ、夏希可愛いもんね。へー」


マスターが唖然としている。

マスターは乙女心に対して鈍すぎる、リッキュンを見習って欲しい。


「そりゃ大学の近くで食堂をやってりゃ分かるだろ?」


マスター、そんな理詰めなセリフじゃなく甘いセリフを…マスターには似合いませんよね。



――――――――――


 何で山っちが夏希の家を知っていただけで、あんなにムカついたんだろう。


「あっ、婆ちゃん。今日は外でご飯食べてくるから夕飯いらないから」


「また夜遊びかい?全く孝子みたく家の手伝いをする気はないのかね?」


「夜遊びじゃなくお見舞い。山っちとご飯を食べてくるから」


「相変わらず彼氏でもないお坊さんをこき使って…お坊さんに孝子が"もう一度お会いしたい"って言ってたと伝えておくれ」


何で孝子姉ちゃんの真似をするのよ。

…孝子姉ちゃんが山っちに会いたい?

きっと、この間のお礼だと思うんだけど。


「なんでわさわざ社交辞令を伝えなきゃいけないのさ」


「社交辞令?違うぞ、孝子の方からお見合いをお願いしたいって言ってきたんじゃから」


へっ?え――――!!


「何言ってるの?孝子姉ちゃんも山っちも学生なんだよ?ありえないっ」


「見合いがうまくいったからって直ぐ結婚する訳がないじゃろが。誰かと違って孝子は男を見る目があるからの」


「何言ってんの?孝子姉ちゃんは山っちと何回も会ってないんだよ、山っちの魅力が分かる訳ないじゃん」


「ほう、ならお前にはお坊さんの魅力が分かるのかな?」


山っちの魅力は優しくて、気持ちが大きくいし、不器用な真面目さ、後は暖かい。


「まっ、自分の気持ちも分からないお子ちゃまが他人の魅力なぞ分かるわけないな。ほれっ早く行った行った!!」


自分の気持ちなんて簡単じゃん。

色々とムカつく、今はそれが一番。


――――――――――


 食堂佐山に着いた。

幸い外から見た感じ佐山さんには何も憑いていないと思う。


「それじゃ俺はここで待ってるから佐山さんとゆっくり話をして来い」


「山っちは来ないの?」


「自分の男に殴れた日に他の男に会いたくないだろ?ましてや俺だぜ」


体もごついし、顔には優しさがない。


「確かにそうだけど。夏希が会いたいって言ったら入ってくればいいじゃん」


「佐山さんが言うならな。ほらっお見舞いのプリンを忘れるなよ」


「分かってるって。でも何でプリンにしたの?」


「プリンなら顔が腫れていて食べる時に痛みが少ないだろ?」


麗奈が佐山さんの家に入ったのを見計らって精神を集中する。

殴られた痕にグレムリンの残留魔力がないのかを探る。

しかし…残っていたのはグレムリンの物だけじゃない。

濃く残っているのは霊気、次にグレムリンの魔力、そしてうっすらと全く違う魔力を感じた。

あれは一体、例の彼氏に会えれば分かるだろうけども。

何とか俺がオンカノにアクセス出来れば良いだが。

そんな事を考えていると麗奈からメールが届いた。

佐山さんが俺に話を聞いて欲しいと言ってるらしい。


佐山夏希、麗奈や美保のクラスメイトで陸上部に所属、ショートカットで少年みたいな元気さをもった少女だった。


「あっ、山さんプリンありがとね。山さん、僕何か悪い事したのかな?」


佐山さんの頬は痛々しく赤く腫れている。

表情には前の様な明るい元気さは微塵もなくどんよりと暗い。


「悪い事をしなくても酷い目には遭うもんだよ」


俺はゆっくりと佐山さんの頭を撫でる。


「山さん、彼氏前みたいに優しい彼氏に戻ってくれるかな?」


「俺がやれる事なら手をかしてやるよ。なんか食いたい物があったら作ってきてやるし、行きたい所があれば気分転換に連れて行ってやるさ」


何よりもフザケた真似をしてくれた奴はきっちりと退魔してやるしな。


また新たな女性キャラ登場。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ