表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/73

精一杯の解決策

山田さんはチート扱いになるんでしょうか

 有給で会社を休んだという日山優太には"仕事が早く終わったから3人で外でご飯を食べよう" と奥さんにメールをしてもらった。

近くまで来たって連絡を確認してから日山優太を残して部屋を後にする。


「マスター凄いです、格好良いです。学生で彼女もいないのに上から目線のお説教。まともに考えたら説得力ゼロなのに押し通した所も凄いのです」


多分、プリムには悪気はないんだよな。


「まだだ。これからが一番の難所なんだよ」


これから姫宮さんの説得をしなきゃいけない。

ホールに着くと姫宮さんが俺の姿を見つけた様で、すぐさま駆け寄って来る。


「日山さんは、優太さんはどうなりましたか!」


姫宮さんは本当に日山優太を愛していたんだと思う。


「問題は無事に解決しました。しかし彼は貴女に二度と会いません。藤川さんすいませんが姫宮さんにしばらく付き添ってもらえますか?」


出来るだけ感情を込めずに淡々と話を進めていく。


「何でですか?嘘です彼がそんな事を言う筈がありません!!」


「答えは分かっている筈ですよ。貴女の行動は世間の規則から外れたものなんですよ」


「嫌です!!彼は私を愛しているって、奥さんとの間に愛情はないから絶対に分かれるって約束してくれました」


確か姫宮さんは小学校から大学まで女子校だった筈、純粋故に普通では信じない日山優太の言葉も信じてしまったんだろう。


「何よりも貴女にあの幸せを壊す権利はないんですよ。あの女の人が誰だか分かりますよね」


俺の指さした先にいるのは仲の良さそうな母親と娘。


「ママー、早くパパに会いに行こうよー。ごっはん、ごっはん」


「はいはい、優美ちゃんはなにを食べたいの?」


「はんばーぐ食べるー」


それは親子の暖かな日常、見る人が思わず微笑む暖かな光景。

しかし姫宮さんだけは顔を青くしている。

それはそうだろう、自分が怯えていたのは不倫相手の奥さんだって分かったんだから。


「それでは行きますよ。これ以上ここに居る必要はないですよね」


タクシーで姫宮さん達をアパートまで送っていく。


「藤川さん姫宮さんから目を離さないで下さいね」


今の姫宮さんは下手をしたら馬鹿な事をしかねない。


「分かりました。桜さん行きましょう」


それまで塞ぎ込んでいた姫宮さんが俺を睨みつけてきた。


「私は彼と一緒に居たかったのに、何でこんな余計な事をしたんですか!!」


それは俺がよく浴びる恨みの視線。

ドロドロした問題はなかなかすっきり解決とはいかない。


「貴女の気が済むのならいくらでも俺を恨んで下さい。全て俺が仕組んだ事ですから」


今回で防ぎたいのは姫宮さんの恨みが日山優太の奥さんや娘さんに向けられる事と姫宮さんの自殺、それを防ぐ為ならいくらでも恨まれてやる。


「山っち、行こ。ここにいても仕方ないよ」


麗奈が俺の手を掴んで歩き始める。


「山っち。奥さんとか不倫って何だったの?」


「そのまんまだよ。俺がホテルで会ってきた相手日山優太は既婚者で子持ち、それでもって姫宮さんの恋人だったんだよ」


そうあくまで恋人だったのは過去形。


「うそっ、姫宮さんはあんな言葉を信じちゃったの?ありえなくね」


「溺れる者はワラをも掴む、恋に溺れた姫宮さんは日山優太の薄っぺらい嘘にすがりついたんだろ」


「なんで日山と姫宮さんが悪いのに山っちが恨まれる必要があるのさ。それって逆恨みじゃん」


麗奈が握っている手の力を強くしてくる。


「逆恨みでもしてれば気が逸れるさ」


俺は正義の味方になりたいんじゃなく、霊のトラブルを解決したいんだから。


「傷ついた女は落としやすいって言うけど山っちはそれを出来ないんだよね。ううん、しないんだね」


「悪かったな、俺にそんな芸当を求めるな」


「不器用っていうか頭が硬いって言うか、本当に山っちて損な性格だよね」


ったく、なんでこいつはこんなに嬉しそうなんだよ。


「さてと、それじゃ不器用な山っちには可愛い麗奈ちゃんがご飯を作ってあげる。スーパーで買い物をしてこっ」


俺は悪戯っぽく笑う麗奈に救われた気がした。


――――――――――


あの騒動から数日たったある日、家に孝子姉ちゃんが訪ねてきた。


「孝子姉ちゃん、姫宮さんはもう大丈夫なの?」


「次の日にはご両親が来てくれたし、もう大丈夫みたいだよ。お坊さんにきちんとお礼をしなくちゃゃね」


「それなら山っちと予定を合わせておくね。それならメールでよかったのに」


「今日はお婆様にお返事をしに来たの。むしろお願いしたいって」


そう言った孝子姉ちゃんの頬はうっすらと赤く染まっていた。

何か嫌な予感がする。

孝子姉ちゃんがお礼をする時には絶対に同席してやるんだから。


―――――――――


携帯に新しい依頼が届いていた。



〜無気力症状及び人格の豹変について〜


最近、続発している無気力状態や人格の豹変にある魔物が関わっている事が分かりました。

あるサイトを使用した人間がそれに熱中するあまりに他の事に対して無気力となり、人格が豹変してしまうケースが見られています。

関わっている魔物はグレムリンと推測されますので各退魔士は備えをお願いします。


山田さんで好きなキャラいますか?

個性が確立されているか不安です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ