プリム復活
これを今日更新しないと明日に繋がらないので
鳴った携帯を見て思わず頭を抱えたくなった。
「万知様、電話は控えて欲しいと言った筈ですが?」
電話の相手は俺が所属している組織のトップの万知様。
「大君、大君、B系女子高生の次は大和撫子?凄いねっ!鈍感朴念仁の大君に春が2つも来たよ!!」
「万知様、また力の無駄遣いをしましたね。あれ程、自重する様にお願いしたではありませんか」
万知様は力を使うと万物の具象を知る事が出来る。
ただし疲労が凄く、使い過ぎると気を失う事も珍しくない。
何より人の裏側や欲望がダイレクトに流れてくるので、俺としてはどうしようもない時にだけ使って欲しいのだが。
「だって大君の幸せが掛かっているんだもん。それに2人ともレベルが高くて驚きだよ」
万知様は力が強すぎる為に周囲にいる人間の心の声が否応なしに頭に流れてきてしまうそうだ。
普段は生活している屋敷には結界が何重にも張り巡らされているし、学校に行く時には体中に法具をつけて力を押さえ込んでいる。
だから友達と遊びに行ったりデートなんかは夢のまた夢。
その所為か他人の恋愛に興味津々、良く力を使って組織の人間の恋愛模様を楽しんでいる。
「俺に期待しても無駄ですよ。麗奈も藤川さんも霊力のない人間ですし、第一2人共、俺なんて絶対に対象外ですよ」
「組織の中には力を持たない人と結婚したり付き合ったりしてる人が沢山いるじゃない。大君に命令、この出会いは大君にとって必然なの、逃げないで向き合いなさい。今関わっている件は正式な依頼にするから、きちんと解決をする様に」
先読みか…。
万知様の力の1つ、先読みは将来起きる事に対して、こうすると良い結果が得れると認識出来る能力。
最も具体的な内容は分からず、この依頼は誰に任せれば一番良い結果が得れるだろうって感じでしかない。
「分かりました、分かりましたから俺への用件ならメールにして下さい。電話は万知様に負担が掛かります」
万知様は電話をするだけでも相手の現状とリンクしてしまう時がある。
特に俺みたいな退魔をしてる相手だと関わっている悪霊ともリンクしかねない。
「大君、つまんなーい。なんか学校の先生みたい」
「そりゃ教育学部ですから。それではきちんと体をご自愛して下さいね」
そう言えば本名じゃなく万知様と呼ぶ様になってから何年が経ったんだろう。
万知様は万知様の役目から逃れられない、死なない限りは。
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「山っちー、孝子ねえちゃんの友達が、一度山っちと話したいんだって。良かったねー」
だけれども、良かったねと言っている麗奈の表情は全く良くなかったりする。
「良くないだろ?俺と話をしたいって事は、あのお札じゃ効果が無かったって事だろ。うまくいってたならお礼を言いたいってなるだろ」
「えー、それじゃマジに幽霊が出るの?…山っち、初対面の女の人とちゃんと話出来る?一緒に行ってあげようか?」
「先ずは話を聞くだけだから来てくれたら有り難いけど良いのか?」
会うとしても、喫茶店かどこかだから麗奈に被害は及ばないと思う。
「だって山っち私と普通に話せる様になるのに1ヶ月近くかかったじゃん。それまで不愛想でいくら私や美保が話しかけても返事しかしてくれなかったじゃん」
「そりゃバイト中にベラベラ喋る訳にはいかないし、俺は麗奈達みたいな若い娘には嫌われていると思ったから、ついな」
力を使うまでもなく麗奈達には嫌われこそすれ、好かれる筈がないと思い距離をおいて接していたんだよな。
「まっ、そこが山っちらしいところなんだけどね。それで山っちいつ会うかを決めるのにバイトが終わったらご飯食べに行かない。あっ、でも久しぶりに山っちの手料理も食べたいな」
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修行を終えて、久しぶりにマスターの元へ戻ってきた美少女妖精プリム改め美少女妖精グレートプリムです。
今日はマスターの手料理を堪能する予定だったのに、何故にあの礼儀知らずがいるの?
しかも僕が食べる予定だったマスターの手料理を食べてるなんて。
「うん、山っちのご飯は相変わらず美味しい。山っちって見た目は男臭いけど、料理うまいよね。あっ美保にメールしてやろっ、絶対に悔しがるよ」
(悔しいのは僕だー。あー、野菜たっぷりのコンソメスープがなくなるー!)
「別に悔しがりはしないだろ?美保は麗奈と違ってあまり食べに来ないしな」
「あまりって美保も食べに来たりしてるの?あいつ私に何も言わないとは小癪な」
(小癪なのはお前だー。メインの鳥の竜田揚げは残せー)
「それでも数える程だぞ。誰かさんと違ってな」
「でも可愛い麗奈ちゃんが来ると1人暮らして寂しい山っちの部屋に花が咲く感じがするでしょ?」
(マスターには美少女妖精プリムmarkⅡがいるから寂しくないんだよ。あーマスターのポテサラが無くなる)
麗奈が満腹となった頃には自称美少女妖精は楽しみを奪われいじけていたと言う。
ザコやイ・コージ以上に女性陣に癖がある気が。