冬だからもっと寒くなる話
クリスマスが近づいていくにつれ、子ども達は楽しさ、うれしさに満ちていた。
が、ここに一人、クリスマスを頑なに拒む子供が一人。
クリスマスの話題になると、顔を顰めて会話の群れから外れていった。
そんな少年が頑なに拒んだクリスマスが、今日、来た。
少年は布団をかぶって、静かに、怯えながら、クリスマスが去るのを待った。
何故?
知ってしまったからだ。
クリスマスの怖さを。
何てことだろう・・・。と、少年は後悔した。
自分の行った行為に。
そして、この事実を知ってしまった自分に。
少年は布団に潜り込みながら、
来るな・・・、来るな・・・。と、怯えて震える少年。
来ないで欲しい。出来れば、クリスマスなんて来ないで欲しい。
あぁ、何で僕は・・・、
あんな事をしてしまったのだろう・・・?
今更ながらに、後悔する。
悪気は無かった。
本当に。
ただ、ほんの少し、驚かすつもりだった。それだけのつもりだった。
なのに、アイツが勝手に転がり落ちて――――
少年は震えた。
怖い。
恐い。
未だ、少年の行いはバレてない。
だが、恐らく、彼にはお見通しなのだろう。
少年は恐怖に慄き、それでも、気付けば、布団の中で眠りについていた。
シャンシャンシャンシャン・・・
!
少年は鈴の音で目を覚ました。
いつの間にか眠っていたらしい。
布団から潜り出る時、出来れば、もう既に日が過ぎていて欲しい。
が、少年が時計を見たとき、時計の針は一時を少し回った刻を示しているだけだった。
少年は、「ハッ」と思い出す。
さっき、自分が聞いて目覚めた時の音。
あれは、鈴の音だった。
少年は恐る恐る、外を見た。
「・・・あ・・・、あぁ・・・!」
思わず声が漏れた。
窓の外、遠くに見えるのは、幻なんかじゃない。
トナカイに乗り、赤い服を着たおじさんが、何かを探すように空を徘徊していた。
少年はカーテンを閉ざし、窓を背にして汗を流す。
彼の探しているのは、自分だ。と。
ああ、何て事だ・・・!
少年は動いた。部屋、家の戸締りを全て確認する。
全てを閉ざして、更にガムテープを探し出し、隙間という隙間に貼り付ける。
入ってくるな・・・、入ってくるな・・・。
呟きながら、張る。張る。
自分の部屋の隙間に、全て張り終えた。
少年の部屋には煙突も無い。
これで大丈夫。これで・・・!
少年は布団を被り直した。
身を隠して、震える。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫・・・。
呪文のように繰り返して、なんとか眠ろうとする。
しかし、
ガタ・・・
物音が、少年の眠りを遮った。
ガタ ガタガタガタガタガタガタガタ・・・
窓を叩くような、揺らすような音だった。
大丈夫。大丈夫。入って来れないはず。
大丈夫。大丈夫。
少年は自分に言い聞かせる。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ・・・ ガタ ガタ ・・・
音が、
止んだ――――
やった!諦めたんだ!
少年は喜び、かぶっていた布団を蹴り飛ばした。
が、
歓喜の表情に、一気に恐怖が張り付く。
居た。
開いた窓から冷えた風が吹きすさび、
部屋の中に立つ、一人の老人。
サンタだ。
髭を蓄え、赤い帽子を被り、赤い服を着ている。
目は窪み、眼球を確認することができない。
サンタの、手が伸びる。
ああ、そういえば・・・、
と、少年は思った。
誰から聞いたのだったろう、と。
サンタの話を、誰から聞いたのだったろうか、と。
覚えていなかった。
いつから知っていたのか、誰に聞いたのか。
そういえば、一つも覚えてない。
気付いたら、知っていた。
気付いたら、怯えていた。
いつからか与えられていた、サンタからのプレゼント。
そして死の間際、少年は見た。
サンタが持っていた袋。
袋の口から、血に濡れた腕がはみ出していた。
それも、恐らく大人のじゃない、
アレは、子供の・・・。
そして、よく見れば、
サンタの着ている、赤い服。
これは、元々、この色なんじゃない・・・。
これは、そうか・・・。
血の、
赤なんだ・・・。
サンタの手が、少年を捕らえ、
少年の意識は暗転――――
大丈夫、の羅列を見ててゲシュタルト崩壊をおこしてしまいました。
友達に、これは笑える、と言われたのですが、どうなんでしょう?
まぁトモアレ、楽しんで頂ければ幸いです。




