『和尚さんと騎馬とプレスマン』
掲載日:2026/04/24
ある城下町に、お城より古いお寺がありました。和尚さんは、非常にまじめで、毎日朝早く起きて、庭の掃除、本堂の床の拭き掃除、御本尊の前での読経、写経、檀家回り、自分の食事の支度、町内の子供たちへの速記の授業など、何でも一人でこなしていました。
ある日、檀家回りで遅くなり、日が暮れてから寺に帰ろうとすると、前から騎馬が駆けてくる音がしました。和尚さんは、道の端へよけて、騎馬が通り過ぎるのを待ちましたが、一向に通り過ぎる気配がありません。騎馬が遠くから迫ってくる音がするのに、目の前まで来ないのです。おかしいと思って、騎馬が来るほうへ歩いていくと、騎馬の音がだんだん遠ざかっていくのです。そうかと思うと、今度は、後ろから迫ってくる音がするのです。和尚さんは、どうせこの騎馬も、目の前までは来ないだろうと思って、よけずにいたところ、思ったとおり、騎馬はやってきませんでした。しかし、騎馬の音だけはするので、和尚さんは、音のするほうへ、持っていたプレスマンを投げると、文字にはできない変な声がして、静かになったということです。
教訓:仕方がない場合もあるが、プレスマンを投げるのは感心しない。




