銃声のあとに残るもの

現代日本――。
裏社会には「アルファ」と呼ばれる巨大な暗殺者コミュニティが存在する。
依頼は世界中の犯罪組織や大企業の首脳から寄せられ、
報酬は“専用の金貨”で支払われる。
そのすべてを統制するのは、世界規模の管理組織《平議会》。
暗殺者たちは冷徹な秩序の中で生き、感情を殺して任務を果たす。

その中に、「志村朔人（しむら・さくと）」という男がいた。
アルファでも最高ランクの暗殺者。
一切の感情を交えず、完璧に任務を遂行する――
誰もがそう信じていた。

だがある日、彼の心はひとりの少女の死で軋む。
彼女を殺したのは、中国マフィア《青龍会》。
志村は禁忌を破り、感情のままに復讐を果たす。
その代償は、平議会による「一年間の任務停止」だった。

そして、もう一人の異端――。
平議会の規律を拒み、民間人すら巻き込む無差別な殺戮を行う暗殺者、
石川明弘（いしかわ・あきひろ）。
コードネーム《ジョーカー》。
彼は秩序そのものを嘲笑い、闇に姿を消した。

秩序を守る者。
秩序を壊す者。
そして、その狭間で揺れる男。

銃声が止んだあと、残るのは沈黙か――それとも、人の心か。

冷たい都市を舞台に、二人の暗殺者の運命が交錯する。
闇の中でしか生きられない者たちの、静かで激しい物語。