ロクでもないこと
国王退出。
「あの…… 」
「そうか。誰か部屋を案内してやってくれないか」
メイドが走ってきた。
「ちょっと王子…… 」
「ではまた夜にでも」
コンプラ王国は至って普通。激しい抗争を続けているようには見えない。
「ねえあなた。ハッシャについて何か知ってる? 」
困惑するメイド。
「さあどうでしょうか」
「お願い教えて! 何でもいいの。太郎王子を知らない? 」
「太郎? さあ初耳ですね」
ただのメイドに過ぎない。そうであれば知っていることも限られてくる。
「実は…… 」
メイドが語りだした。
「ハッシャなんてロクなものではありません。国王に刃向かうだけでなく村々を転々として悪さをしている連中。手が付けられません」
やはり評判はよろしくない。
「国王が取り締まりを強化した為、連中姿を見せなくなってます。でもいつここに現れる心配で心配でなりません。今王子が生まれたばかり。余計な厄介ごとに巻き込まれるのは国王としても不本意でしょう」
「そうだ。もう皆さんお集りになったんですか? 」
「いえ、それが第五王子だけ姿を見せてません。十を超えたとは言えまだまだ子供。何か在ったのでなければいいのですが」
「第五王子? 」
「はい。小さくてかわいらしいお方。いつもロク先生がお付になっているんですがね」
「ロク先生ですか? 」
「はい。ロク先生は教育係。第五王子に今は着いていますが昔からここの教育係として雇われているのです」
消息不明の第五王子。
「ロク先生と第五王子の姿が見えません。本当にどうしたのでしょう? 心配だわ」
これ以上聞くこともない。
たっぷりと陽が暮れた頃。
晩餐会スタート。
国王の一言で晩餐会が行われることに。
我々を歓迎してとのことらしいが王子誕生がメインと考えられる。
全員揃うかと思いきややはり第五王子が遅れている。
これはおかしいと国王が騒ぎ始めた。
とりあえず第五王子を抜かし自己紹介。
「ようこそコンプラ王国へ。どうぞごゆっくり」
さあこれから食事と言う時に一人の男が息を切らしやって来た。
男が乱入で一堂騒然。
何もできずに固まる。ただ様子を見守るしかできない。
「申し訳ありません! 本当に申し訳ありません! 」
息を切らした男が国王の方へ。
「ロク…… 」
どうやらこの人がロク先生らしい。
「どうしたロクよ。何があった? 」
異変をいち早く察知した国王。
「申し訳ありません。王子がさらわれました」
「何だと? して心当たりは? 」
「分かりません。一瞬の出来事でしたので」
「分からんだと? 無責任だぞ! 」
「目を離した隙にどこかに行ってしまわれて…… 」
「なぜ早く知らせない? ううん? 」
「そうですよ。落ち度ですよ。罰は逃れられませんよ」
第一王子も反応。
「お前は黙っておれ! 」
国王の機嫌が悪くなる。
早く解決しなくてはまずいことになりそうだ。
「それにしてもなぜ今なんだ? 」
「それは…… 」
「本当にロクのことしないなお前は! 」
抑えてください。父上。
今回が初めてという訳ではないらしい。
「つい…… 修行に夢中で王子を見ていなかった…… 」
ロク先生は国王からの信頼がある。しかし今回のことで一気にその信頼を失った。
「ロクよ。詳しく話してくれるか」
「実は王子に稽古をつけていたのです」
「稽古? 教養ではなくか? 」
「ええ。今後役に立つと思ったので」
「まあよい。続けよ」
「ここ数日嫌な感じがしていたんです。見られているような。視線を感じると言うか」
「何? なぜ早くそれを知らせない! 」
「まあ抑えて抑えて父上。それでロク先生は目を離したと? 」
「ええ。目を瞑り王子の相手を。王子はまだ若く力もなく未熟でやる気もあまり感じられません。だから好きに攻撃していいと言って目を瞑っていたのです」
「そのうち王子の声が聞こえなくなり心配になって目を開けると王子が消えていたんです
王子! 王子! と呼びかけても反応がありません」
困惑するロク。
「これはおかしいと何度も呼びかけましたがやはり反応がありません。
急いで辺りを探しましたが木の枝が折れる音がしたくらいで忽然と姿を消したのです。どうか信じてください! 」
「ロクよ。儂は信じたい。じゃがお前が一枚噛んでいるとも限らない」
「そんな…… 」
「拘束させてもらうぞ。悪く思うな」
念のための処置。
ロクは連れていかれてしまった。
続く




