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朝の侵入者

悪さをしては説教されるかお仕置きを受けるかの毎日。


まあ他の奴も似たようなもの。気にしない。気にしない。


ただ捕まると没収される訳で戦利品は無くなる。


それだと格好が悪いので戻った時には袋だけは膨らませてごまかす。


どう言う訳かそれでごまかせるから不思議。


まあ俺には太郎と言うハンデを抱えている。他の者より不利だったのは確か。


だからと言って嫌がったりそこら辺に置いてきたりはしない。


まったく情けない奴だが弟分だから仕方がない。



「おいどうだ? 」


「意外と重そうだぞ」


「うーん。今回は特別にステーが仕切っていいよ」


実力主義とは言え優しさもある。


「よし次! 」


「俺はこんなのを持って来たぞ! 」


「うおおお! 金だ。本物の金だ! 」


一体どこから取ってきたのか? これは危険な香りがする。


「へへへ…… 」


いくら聞いても教えてくれない。秘密だそうだ。


「俺は服だ! どうだ見てくれ! 」


今は寒い冬で北風が吹き荒れている。必需品で人気も高い。


「おいおい! もっとマシなのはないのか? 今日は散々だったな」


「本当! 本当! 」


いつもこの調子。お宝を持ってくることなどある訳がない。


今日はいい方。ただ文句を言って騒ぎたいだけなのだ。


まあ明日はもっとすごいものをと考えるのは悪くない。



「よし寝るぞ! 」


ねぐらは常に変えている。別にマークされている訳ではない。


ただ汚くなって臭くなっちまうから耐えられないだけ。


ここも一ヶ月前に引っ越してきた。


空き家だ。誰も住んでいない。だから有効活用するのは当然。


「なあ、そろそろ新しいところを見つけようぜ」


心配性のノラが訴える。


「面倒だなあ」


「反対! 」


「賛成! 」


結局、日毎にリーダーを変えるものだから統制が取れていない。


当たり前だけど皆バラバラに動く。


多数決を取ろうにも喧嘩が起きる。


そうすると仲間が減っていく。もう今では十人を切った。



ここ出身でロクに出世した奴はいない。皆大きくなっても似たような生活を送る。


ただ図体がでかくなっただけで中身はそのまま。


悲惨と言えば悲惨。


決して生活は楽ではないがここが忘れられずに戻ってくる奴もわずかばかり。


俺はどうしようかなあ? 別にこのままでもいいんだけどな。


太郎の奴に相談してみるか。


「おーい太郎! おーい! おーい! 」


いくら呼んでも返事が無い。


「なあ太郎知らないか? 」


「太郎なら帰ったよ」


「帰った? どこに? 帰るところなんてあるのか? 」


「知るかよ! もう寝るぞ! 」


最年長のドッドが睨みつける。


ドッドは捨て子だったそうだ。それを拾った人間にまた捨てられた。


ドッドは相談役。本来ならリーダーでもいいがドッドが頑なに拒む。


交代性が定着した。


「くそ! 」


「明日にしろって! もう眠るぞ! 」


「でも…… 」


もう外は真っ暗。別に怖くはないが眠い。


太郎は明日でいいか。



ゴゴゴ!


嵐か? 地震か?


何だ何だ?


朝早くに騒音で起こされる。


「何が起きた? おいドッド! 」


「うるさいなあ…… 」


ドッドは俺が起こしたものだと決めつけている。


「俺じゃないよ。すごい音がしたからさ」


外が騒がしい。何かが起きている。


「おーい! ハッシャの連中だ! 」


「あいつら大人の癖に酷いことしやがる」


「逃げるぞ! 見つかったら面倒だ」


仲間が騒ぎ始めた。とにかく逃げるしかない。



ハッシャ……


俺らの中で出世といったらこのハッシャに入ってえらくなること。


そしてヤ―チャットに行って金持ちになること。


もちろんそんな奴いなかったけどな。


「おいガキども! 」


「まずい逃げろ! ハッシャの連中だ! 」


「こら君たち大人しくしようね」


金髪メガネが優しく囁く。


子供の前なので手荒な真似はできない? もちろんそんなことはない。


不気味な笑顔で近づいてくる。


「まずい早く逃げろ! 」


うわああ!

ぎゃああ!


外では連中が待ち構えている。


「裏口から行くぞ! 」


皆一斉に裏口から脱出を図る。


「待ってくれ! 」


寝ぼけていたドッドと動けずに震えていたノラが捕まった。


「助けて! 」


「馬鹿野郎! ハッシャの連中なんだぞ? 」


昨日までの大人とは訳が違う。恐怖で支配している男たち。


合わせて五人で来ている。こんなところに一体何の用があるのだろう?



大混乱を引き起こした突然の訪問者。


幼きステーテルに危機が迫る。


                続く

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