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別れの挨拶

サンスリン様にお別れの挨拶。


「どうだ。今晩も二人で逃避行と行こう」


カジノに入り浸りのサンスリン様。何かにつけて誘ってくる。


私はサンスリン様とロマンチックな夜を過ごしたいだけ。


なぜ理解してくれないの? なぜもう少し大人になってくれないの?


サンスリン様への思いがどんどん薄れていく。もうどうでも良くなってきている。



「何をしておる。さあ行くぞ! 」


まったく聞く耳を持たない。困ったお方。それがサンスリン様の正体。


ガムを見る。


力強く頷くガム。


もう迷わない。さあ言うのです。


「あの…… サンスリン様? 」


「どうした? 準備は整ったか? 」


行く気満々。まさか断わられようとは夢にも思っていないだろう。


「お一人で勝手にどうぞ」


「何を言う? ステーテル? 」


「私はここを出て行きます。お世話になりました」


「どうした機嫌が悪いな。ははは…… 」


サンスリン様はまだ理解できていない。


「お断りいたします! 」


「おい待て! 何を言っている? おい! 」


慌てて引き留めようとしてももう遅い。


「では失礼。お世話になりました」


説得は無意味。


「待ってくれ! ステーテル! 」


「ご機嫌よう」


話を無理矢理切り上げる。


もともとこの国ではお相手を決められていなかった。


ただ私がサンスリン様に熱を上げていただけ。もうサンスリン様に未練はない。


さあ次の世界へ。



「待ってくれガム! 」


「ごめんなさい。もう遅いんです」


「遅い? 」 


「どうかお幸せに! 」


サンスリン様は引き止めを断念。


「なあステーテルよ。私は来年にも王位につく。もう一年待ってくれないか」


話を変える。まだ完全に諦めてはいないようだ。


「分かっております。あなた様が無事王位に着いた時には再びお祝いに駆け付けます。


「きっとだぞ! 」


一年の猶予をもらう。その時までに決めればいい。


サンスリン様は我がままでまだまだ未熟。カジノに嵌って大損する始末。


そこさえ直せば理想の王子になるでしょう。


民からの信頼も得られて一国の王として立派に成長するに違いありません。だから頑張ってほしい。


サンスリン様は理解してくれた。


エルス王子にもお別れの挨拶をする。


これで心置きなく旅立てる。



早朝。


「では本当に行ってしまうのだな? 」


「ええ。また会いましょう」


「寂しくなるな…… 」


「ごきげんよう」


サンスリン様がお見送りに来た。何と律儀な方。そして諦めの悪い方。


「ステーテル? 」


まだ引き留めようとするつもり? まったく何を考えているのかしら。


「なあ…… 」


いつまでも諦めの悪い方。これ以上続けるなら頬を張ることになる。


まったくそれにしてもガムがちっとも入ってこない。


ここはガムの出番のはず。いくらもう頼らないと言っても限度があるでしょう?



「ステーテル! 」


「サンスリン様! 」


目が合った。まだ忘れられない。


サンスリン様も後悔しているようだ。


「ごめんなさい」


「なあステーテル」


「はい? 」


「カジノに行かないか? 連れがいないと寂しい」


まったくこんな時にもう……


怒りのビンタを抑えるのに苦労する。


本当に自分勝手なんだから。


パン!


「ううっ? 」


サンスリン様が頬をさすって驚いている。


一体何が?


「ステーテル! 何をする! 」


「えええ…… 私? 」


まずい。つい手が出てしまった?



「ああ、来ましたよステーテル」


馬車が到着。


「ではごきげんよう」


呆然自失の王子を置いて馬車はヤ―チャットへ。



ナナチャット編 完



                   続く


次回からヤ―チャット編突入。


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