交換条件 エルス様と秘密のプレイ
サンスリン様に続いてエルス様がおいでになった。
エルス様は悩みごとがあるのかはっきりしない。
「ああ心配するな。昨日の続きをやろうなどと馬鹿な考えは持っていない」
では一体何?
「はっはは! 」
笑い方がサンスリン様にそっくり。まあ当然か。兄弟なのですから。
「それでどのようなご用件ですか? 」
「実はな…… 三日後にサンスリンが二十歳の祝いを迎える」
この国では二十歳で一人前。ガムによれば現国王は二十歳で王位を継承したのだとか。
「それはおめでたいことですね」
「それでだが…… 」
あれ止まってしまった? 何か言い辛そう。どうしたのかしら? そう言えば……
「あら…… でもサンスリン様はお酒もお飲みになられていましたしカジノにもお出かけになられていた気がするのですが」
「ははは…… 大目に見てやってくれ。奴も王子。私同様に甘やかされているのだ」
エルス王子は自覚されているようだ。
「それで盛大に祝いたい。協力してくれないか? 」
「サンスリン様に内緒でですか? 」
「ああ。できればそうして欲しい。いやそれだけでなく兄にも父上にも黙っていて欲しい。
秘密にするからには誰にも知られる訳にはいかない」
サンスリン様の為にそこまで…… さすがはエルス様。協力しない理由はない。
「分かりました」
「そうか! ではこちらに…… いや…… 協力してくれるのだな? 」
「はい。喜んで! 」
弟想いのエルス様にお力になれるのが嬉しい。
どうやら真面目なエルス様は真剣に悩んでおられたようだ。
「私でよろしければいつでも協力致します」
サンスリン様の為なら。
そう心に誓う。
ではさっそく……
エルス様との秘密の特訓。
まずは体を動かす。
どうやら昨日の運動も関係があるようだ。
エルス様は秘密主義なのか何をしているのかを説明してくれない。不安になる。
「弟の為だ。我慢してくれ! 」
そう言われてしまうとそれ以上追及できない。
「着いてきてくれ! 」
エルス様に続く。
広大な屋敷から外へ。
はあはあ
はあはあ
最初はゆっくりと。徐々にスピードを上げて体を慣らしていく。
「済まない。最初はきついがこれも弟の為」
ことあるごとに弟の為と言い訳をする。どこか自信なさげなエルス様。引っかかる。
まるで修行。
私はド・ラボーなのよ? こういうことはガムに頼めばいい。なぜ私なのかしら?
「さあもう一回」
あと三日に迫ったビッグイベント。
その頃地下牢では。
乱射王子が囚われていた。
確認が取れ次第、処刑されることになっている。後はサ―チャットの返事。
サ―チャット王もとっくの昔に諦めになっているでしょう。
乱射王子の癖が治らない。
王子のせいでどれだけの人物が犠牲になったことか。
まさか晩餐会の席でのご乱心。誰も擁護できない。
タレイだって諦めている。
地下牢に一つの影。
ゆっくりと乱射王子に近づく。
「おい! ここから出してやろうか? 」
なぜか人払いがされており周りには誰も居ない。
「何本当か? 」
「ああ。しかしタダという訳にはいかないがな」
「取引という訳だな。良かろう。言ってみよ」
未だに王子として振る舞う。もうただの危ない奴でしかないと言うのに。
「話が分かる奴で助かるよ」
「それで? 」
「お前にはもう一度父上に向けて撃ってもらいたい」
「まさか冗談だろ? 」
失敗した時の切り札。
「いいから早く返事をしろ! もちろんお前に拒む権利はないがな」
「分かった。その条件をのむ」
「ふふふ…… それでいいんだ」
「しかし私には何もない」
乱射王子は暗に要求する。
「いいだろう。調達は任せてくれ。さああと三日の辛抱だ。当日の朝に迎えに来てやる。
それまでは大人しく寝てるんだな」
乱射王子と謎の人物との取引は成立。
「ふふふ…… これでいい…… これで心置きなく臨める」
宮廷内で一体何が起きているのか?
ド・ラボーにも危険が迫っている。
続く




