晩餐会 嵐の予感
乱射王子と談笑中。
「まあそんなことよりお前らまだ旅を続けてるってことは理想の王子様が見つかっていないんだろう? へへへ…… どうだ王子は? いや俺だって相手してやってもいいぞ」
タレイはへら口を叩く。
まったく失礼しちゃう。私を誰だと思っているの? ド・ラボーよ。ド・ラボーなのよ!
「お断りいたします」
ガムは有無を言わせない。
そうよそれでこそガム。
「ガムだったか? ならお前はどうだ? 」
切り替えの早すぎるタレイ。困った人。
「王子好きなんだろ? 王子がお前を直々にお相手することだってありえる。もちろん俺だってお前なら…… 」
「王子にはすでにお相手がおりますしあなたと私ではつり合いが取れません。他をお当たりください」
ガムの昨日の行動を知ってか知らずかタレイが絡むがもちろんガムは相手にしない。
「ふん。分かったよ。二人とも勝手にしろ! 」
信用度一パーセントの遊び人のタレイなど誰が相手にするものですか。
不愉快だわ。
さあ二人と別れてサンスリン様の元へ向かおうではありませんか。
サンスリン様どこにいらっしゃるの?
広い宮殿内を歩き回るが姿が見当たらない。
まさかこの時間からカジノ?
ワンド王子の姿が見えた。
まずい。
物陰に隠れてやり過ごす。
私にはサンスリン様しか見えない。余計な者に構っていられない。
「サンスリン様! サンスリン様! 」
ダメだ見当たらない。ああ! どこへ行かれたのですかサンスリン様。
メイドに話を聞く。
「ああサンスリン様でしたら今の時間は別館で書を読まれております」
「書ですか? 」
「はい。後継者にふさわしいようにとのこと」
うん? ますます分からない。確かサンスリン様は第三王子のはず。後継者になりようがない。
「どういうこと? 」
「さあそれ以上のことは直接本人に聞くしかありませんね」
うーん。面倒くさい。邪魔をするわけにもいかないし……
もうこの際エルス様でもよろしくてよ。
切り替える。
「エルス様! ああ。お相手ください」
「どうしたステーテル? 退屈しておるのか? 」
優しいお方。気にかけてくださる。
「では一緒に体を動かそうではないか」
何と大胆なエルス様。
「おいお前たち」
その辺に居た者を加えて四人で追いかけっこ。
「どうだ楽しいだろ? 」
「ええ。少々思っていたのと違いますが…… 」
「ステーテルも手伝ってくれるか? 」
はあ…… 何を?
はあはあ
はあはあ
追いかけっこを一時間以上もやらされた。
私は子供じゃない。立派なド・ラボー。
体はクタクタ。もう嫌!
どうして私こんなことしてるの?
「エルス様。お優しくない! 」
「いや済まない。これも王への道だ」
「はあ…… 」
日暮れ。
今晩は乱射王子を迎えての晩餐会。
二国は離れていることもありさほど交流がある訳でない。会っても顔を合わす程度。とはいえ友好を示すいい機会。
「どうぞこちらへ」
手厚くもてなされる王子。ついでにタレイ。
「へへへ…… 」
タレイはすぐに酔っぱらってしまった。思いのほか酒に弱いと見える。
タレイのマークが外れた。これは危険な兆候。何か起きなければいいのだけど。
国王は上機嫌。
二国の友好の為にも大変喜ばしいこと。
でもあの乱射王子のことだから何かしでかすに違いない。
国王が自慢のコレクションを見せると乱射王子を連れて行く。
コレクション? 嫌な予感がする。
「ガムお願い」
ああ…… 忘れてた…… ガムは晩餐会のお手伝いをしているんだった。
タダで泊まっている身。何か貢献しなくては肩身が狭い。
それに今はガムとの関係がこじれている。頼るに頼れない。
もう仕方がないわね。他は……
タレイを頼るも酔っぱらってしまって役に立たない。
ああ前からか。
「あの…… エルス様」
国王と二人きりにさせていいのだろうか?
エルス王子から話を聞く。
「ああ。父上のコレクションですか。珍しいお宝で。今は幻の銃なんて呼ばれるのもあるんですよ」
自慢されてしまった。安全なら別に問題ないんだけど。
「どうですステーテルも? 」
冗談なのか本気なのか。笑っている。
「中身は? 」
「ええ。もちろん」
ああよかった。心配して損しちゃった。
「すべてそろって価値があるんです。ですから弾はもちろん。撃つことも可能です」
ああ最悪だ……
もう知らない。
続く




