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タレイって誰だっけ? 

追跡。


ガムだってナナチャットは初めてのはず。何の用があるって言うの?


「ガム! ガム! 」


ダメ! 届かない。いくら叫んでも掻き消されてしまう。


もう!


これ以上大声は出せない。


カジノから離れること十分。足が疲れてきた。


旅に比べたらどうってことないけどこれ以上は危険。


まさかガムじゃない?


人違い? 見間違い? まさかそんなはず……


脇道に入った。


まずいわ! 見失っちゃう!


駆け足で後を追う。



「おい! あれ…… お前は確か…… 」


こんな大事な時に余計なのが絡んでくる。


ド・ラボーは罪深い。男たちを惹きつけてしまう。


「ごきげんよう」


面倒な時はいつもこれでごまかしている。


「おいちょっと待て! 」


ああ。もう急いでるのに。


「はいはい。お断りします! 」


言えた。ガムに頼っていた頃とは大違い。


まあ、あの時は身分の卑しい者との会話を禁じられていたわけだけど。


今だってもちろんそう。でも誰が? ガムはいない。頼れるものはいない。自分で何とかしなくては。


「おい行くなって! 久しぶりだな」


古い手を使ってくる。なかなかの強者。確かに通じないこともないけど。


でも私はこの国に来てからお話になったのは宮殿以外では数えるほど。


まさかそんな偶然あり得ない。人違いでしょう。



「忘れたのか? 」


まだ続ける気? 仕方がない。お顔を拝見。


「あら…… 」


「おお覚えていてくれたか! 」


「えっと…… 誰だったかしら? 」


男は残念そうに下を向く。


意外と素敵な顔立ち。


遊び人風の…… うーん。やっぱり思い出せない。


「あなたは金さん? 」


ズッコケる。


「古すぎるだろ! 」


古すぎるって何かしら?


「違うって! タレイだ! 覚えてないのか? 」


「タレイ? どっかでうーん」


本気で思い出せない。でも男は私がわざと焦らしてるものだと考えている。視線が冷たい。


「まあいいや。じゃあ行ってみるか。あの方を見れば思い出すさ」


「あの方? 」


「後のお楽しみさ。ド・ラボーのお嬢さん」


私を知っているこの男は何者?


ガムは知ってる?


いえ、ガムだってこんな小物覚えているはずがない。


ド・ラボーは王子様以外興味ありません。



タレイは強引に引っ張っていく。


もう本当にこんな奴信じていいの?


「しかしよかったな。俺が通りかからなかったらハッシャの奴に捕まっていたぞ。感謝しな! 」


まあ夜道は危険。この辺りも治安がいいはずはないわね。


最悪人間なら大丈夫。一人は心細いしね。


それにしてもタレイは一体どこに連れて行く気なのかしら?


「ハッシャって? 」


「そんなことも知らないのか。良く今まで生きてこられたな。まあド・ラボーのお嬢さんだもんな」


ハッシャ? うーん。これもどこかで聞いたことあるのよね。


全部ガムに任せっきりだから。どうも物覚えが悪い。


「ハッシャって言うのはなそれは恐ろしい集団だ。この先にあるヤ―チャットを根城にしている。

しかも最近動きが活発になっているんだ」


「ヤ―チャット? 」


「ああ。ヤ―チャットはなハッシャとコンプラ族が激しく対立している。昔はハッシャの天下だった。だがいつの間にかコンプラ族が取り締まるようなってから関係が悪化した。おっと無駄口はここまでだ」


そっちが勝手に話してきたんだけど…… 次も大変そう。スキップできないかしら?


 

「ねえもしかしてあなた…… 」


「何だ? うん? うん? 」


「モブ? 」


「うぐぐぐ…… そんなことばかり詳しくなりやがって! 」


事実らしく反論できないようだ。


まあそうよね。記憶にないのはそういうこと。


モブか…… あれは編集長に教えてもらったんだっけ。


あの人その手のことに詳しい変態だから。まあ話には着いていけなかったけど。今どうしてるかしら?


「おい! おーい! 」


ついボーっとして壁にぶつかりそうになる。


タレイが止めてくれなかったらそのまま壁に激突しているところだった。


お顔が腫れ上がるところでしたわ。そういう意味では命の恩人かしら。



「ここは? 」


見たこともない文字で書かれた看板のお洒落なお店。


「入った。入った。楽しいぞ」


タレイのお勧めの店だとか。せっかくのお誘い断るのも悪い。少しだけ。


大人の世界に二名様ご案内。


                 続く

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