ゴミタワー
ガムとおばちゃんのせいで出るに出れない状態。
ガサガサ
ガサガサ
二人の視線が音の方に注がれる。
「あらかわいい」
「何だウサギかい」
鬼の形相で睨みつけるおばちゃん。まだ諦めていない。
「あんた! 見つけたら呼ぶんだよ。まったく本当にもう! 」
ガムを手懐けたおばちゃん。恐るべし。
おばちゃんは用があると言ってガムに後を任せる。
五分が経過しおばちゃんが姿を消す。ガムがこちらに近づいてきた。
「ステーテル。どこですか? 隠れてないで出てきてください」
声を抑えている。多少は気を遣っているのだろう。おばちゃんに見つかっては厄介。
ガサガサ
ガザガザ
少年が先に脱出。
辺りを見回してガムと合流。
「あー緊張したなあ」
「ステーテル! 」
「ごめんねガム」
「心配したんですよ。なぜ一緒に? 」
「つい癖で…… 」
やっぱり自分に自信が無いからか。
ド・ラボーらしく振る舞っているつもりでも少しでも気を抜くと昔の自分に戻ってしまう。
小さい頃の癖と言うか条件反射とでも言えばいいのかとにかく追いかけられると逃げてしまいたい衝動に駆られる。
「あんた何だよ? さっきからさあ」
少年は嫌な顔をする。
「これは失礼しました。ステーテルが迷惑をかけたようで」
実際にはこのとんでもない彼の方が迷惑をかけたんだけどね。
ガムが少年を品定めする。
何を考えているのかちょっと良く分からない。
「ねえあなた。何で追い駆けられているの? 」
「知るかよ! こっちが聞きたいさ! 」
おばちゃんを返すべきではなかった。どうも良く分からない。
とりあえず自己紹介。
「私はガム。こちらステーテル」
さすがはガムだ。余計な情報を与えない。まだ信用できないものね。
「俺はベイドット。妹のベイリーを探している」
さっきまでの生意気さは消えて元のかわいらしい男の子に。
「それで何で盗みなんてしたんですか? 」
「ここには食うものが無い。いや誰も売ってはくれない」
「どういうこと? 」
「さあな。よそ者に食わす物はないんだろ。俺が悪いんじゃない! この町の連中が悪いんだ! 」
反省する様子はない。まったくガキなんだから。これでは信用できない。
「あんたらこそ何でこんなゴミ溜めの町に来た? 」
「私たちは王子さまを探していまして。心当たり無い? 」
「ああ。王子ね。うーん」
この様子だと心当たりがありそうだ。
「隠すつもり? 」
ついつい話を遮ってしまう。
「おっかないなあ。もう分かったよ。こっちだ着いて来い! 」
少年は機嫌を直し口笛を吹いている。
森を抜け例の大きな建物の前まで来た。
「ここ? やっぱり? 」
横を通り過ぎて行く。
「あれ…… ここじゃないの? 」
「何を言ってんだ。この建物はゴミを溜めておくところじゃないか」
「ゴミ? 」
「ああ。ゴミタワー」
これがかの有名なゴミタワー。ゴミ屋敷ならぬゴミタワーだ。
少年の話では元々は真っ白だった建物がゴミの影響で黒ずんでこのようなくすんだような灰色の外観に。
信じがたいがどうも本当らしい。
「お前ら見学していくか? 」
「ここをですか? 」
ガムは嫌がっている。私だってもちろん反対。
少年もただからかっているだけなのだろう。
「ではお願いしましょうかしら」
ガムが狂ってしまった。
嘘…… ガムが冗談を言うなんて。
「そうかなら案内してやる。物好きな奴も居たもんだ」
「ちょっとガム! 」
「大丈夫ですよ。ほんの少しだけ見て回るだけです。気分が悪くなったら戻りましょう」
いや今すぐ戻って!
心で叫び続ける。
「まあいいや。お二人様。ご招待」
「ただのゴミの山。門番がいるにはいるが別に見学は自由だ。ここはタダなんだ。
観光客も寄り付きはしない穴場中の穴場。好きに見て回るといいさ」
ええっ? 本気なの?
「俺は門番と話をしている。お前らいくら持ってる? 」
「金貨を数枚」
「よし全て置いていけ。俺が預かってやる」
疑いの目を向ける。ただ彼が言うには銀貨は良いが金貨は影響を受けるのだとか。
「でも…… 」
「大丈夫。俺が預かってやるよ。さあ行ってこい! 」
彼の善意に甘える。
続く




