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なぜか逃亡中

ある意味地獄の町ゴーチャット。


夜遅くに運ばれてきた大量のごみを午前中に捌き、昼にはお店に。


観光客など来るはずもないが何も知らない客に売りつける。



ここはゴーチャットだよ。このゴミはいかが?


こちらのゴミは何と! かの有名な……


ゴミとゴミをセットでいかがですか。


安いよ。お安くしますよ。


小さなゴミ市が形成されている。



「ああお客さん。これなんかどう? 」


捕まると面倒だ。


本気でゴミを売りつける気だ。


どうかしている。私が求めているのは理想の王子さま。まさかゴミが売れるはずないじゃない。


怒りを覚える。


もうゴミは結構!


ゴミ市を抜ける。


ここにはまともな物もまともな人もいないのかしら。


ゴミ市を抜けると大きな屋敷が見えた。ド・ラボーにふさわしい場所。


間違いない。ここに王子がいる。



大きな屋敷に行く前にお食事がてら村人から話を聞ければいいんだけど。


行きかう人々。


ここはまさしく城下町。


期待が膨らむ。


「ガム。お腹が空いちゃった」


「ステーテル。我慢してください」


「だって朝から何も食べてないのよ! 」


「それは私も同じです」


「私はド・ラボーなのよ! 」


「ワガママはおやめください。大体こんなゴミ溜めの町に我々の口に合うものがあるでしょうか?」


「確かに…… でもお腹空いちゃった…… 」


「もうステーテルったら駄々をこねないでください! 」


「ガム…… 」


「分かりました。分かりました。さっそく探してみましょう」


レストラン。最悪食堂でも良い。地元の名物が食べれればそれでいい。


うーん。



「ドロボー! 」


こちらに向かって走ってくる少年。顔はフードで隠れて分からないが可愛らしい感じがする。


「きゃあ! 」


「ステーテル! 」


「どけ! 邪魔だ! 」


想像よりも荒っぽい。目つきも悪い。


可愛らしさも消えかかっている。


「ドロボー! 捕まえて! 」


少年は森の方へ行ってしまった。


村人が騒ぎ出した。


もう面倒に巻き込まれるのはごめんだ。ここは相手にしないで……


「ドロボー! ドロボー! 」


何度もそう呼び続けるので反応してしまう。


「逃げるわよ! 」


「ちょっとステーテル? 」


我を失う。



昔の苦い記憶が蘇る。


近くの家の果物を勝手に取り怒られている。


私が悪い訳じゃないの! ダメ!


お願い! 許して!



いつの間にか少年の後を追っていた。


「ステーテル? もう何をやってるんですか! 」


ガムは意味が分からないと言った表情で追い駆けてくる。


前には少年。後ろにはガムと被害者のおばちゃん。


はあはあ

はあはあ


何これ? 何でこうなったの?


ドンドン先を行く少年。


私は何をしているのでしょう?


まったく意味が分からない。自分でも意味が分からないのだからガムは尚更。


この少年は何か悪さをしたに違いない。


私は今ここに来たばかり。悪さをする意味もなければそんな時間もない。



男は森へ。


私も付き合う。


奥深くまで逃げる哀れな少年。


まだ幼い感じがするが実際はどうなのか?


ガムのせいでおばちゃんも森までやってくる。


「ちくしょう! どこまで追い駆けるつもりだよ」


少年の自業自得。巻き込まれたこっちはえらい迷惑。


少年は繁みに隠れる。


私も訳も分からずに繁みへ。


「おい何やってんだ! あんた誰だよ? 」


見ず知らずのド・ラボー。


余計なことを言えば悪用されかねない。


「まったく足手まといだな」


「私は…… 」


ガムに止められていた。


卑しい身分の者と軽々しく言葉を交わしてはいけない。


ド・ラボーとしてふさわしい言動をせよと口酸っぱく言われてきた。


勝手じゃない!


逆切れしたこともあった。でもいつもガムが正しかった。



「おい聴いてるのか? 」


少年が迫ってくる。


その時近づいてくる者を察知した。


「ステーテル! どこですか? 」


「こらガキ! どこに行ったのよ! 」

 

ガムとおばちゃんが大声で喚く。


今は返事する訳にも出て行く訳にもいかない。


せっかく逃げおおせたのだ。ここはじっとしている他ない。



ステーテルの受難は続く。


                  続く


                   ④

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