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王子様発見

サーチャット。


「ねえガム。私、お腹が空いてしまったわ」


「そうですね。どこかでお食事にしましょうか」


ガムは辺りを見回す。


「あそこはどうですか? 」


すぐに探し出してくれる。


「そうね。でもあそこはうるさくありませんこと? 」


酒場。


確かに何かは出してくれるだろう。しかし上品な私には決して居心地がいいとは言えない。


「我慢してください。開いている店はここぐらいのものです」


「いや! 私には相応しくない」


「それはそうですけど…… ワガママ言える立場ですか? 」


「そうだけど…… 」



渋々中へ。


「いらっしゃい。これはお美しいご婦人方」


マスターのお世辞。


そこいらの醜いご婦人にも同様のお世辞を言うのか悪気はない。


うおおお!


男たちの関心がこちらに向いてしまう。


ガムも私と比べれば劣るだけで品もあり頭もいい。


「どちらでもいい。こっちに来て酌をしてくれんか」


酔っぱらいのおじ様たちのお相手は面倒だ。


「失礼。旅の人。どこから来たんだい? 」


スマートな老紳士が話しかけてきた。


ガムが応対する。


「ニーチャットから参りました。国王の謁見は叶わないでしょうか? 」


「ならば明日の朝にでもここに行くといい」


親切にも地図を書いてくれた。


「いいかい。遅れないでくれ。朝七時きっかりだよ」


そう言うと笑顔を見せどこかへ行ってしまった。


うまくいった。


食事を終え宿を探す。


INNの看板が見えた。


今夜はうまくいっている。


この後もこの調子ならいいんだけどなあ。



翌日。サーチャット二日目。


紳士の言に従い朝の七時に指定された場所に赴いた。


「へい。お嬢さんたち俺と一緒に旅をしないか? 」


甘いルックスの男。名前をタレイと言った。


背も高くすらっとしているが痩せ過ぎである。いわゆる遊び人。


「なあ行こうぜ! 」


信用度は一パーセントぐらいだろうか。


あまり真面目に相手してやる男でもない。


無視して歩き出す。


「ちぇ! 待てよ! 」


「おい! 何をやっている! 」


しつこい男に罰が下る。


「朝っぱらからだらしない奴だな! 」


「これはこれは」


「少しは時と場所を弁えろ! 」


「王子様ほどの力があれば私もこのようなこと」


「あの…… 」


「これは失礼しました」


ガムが紹介する。


「私はガム。こちらのステーテルのお付をしています」


「そうか。私はこの国の王子である。今は忙しい。もしよろしかったら今夜にでもお出で下さい」


そう言うとタレイを引っ張っていった。


目的は果たした。


どうやら老紳士は王子を待てと言うことだったようだ。



「さあ上手く行ったことだしゆっくりと歩き回りましょうか」


「ステーテル! ダメですよ。つまみ食いはいけません」


「分かってるわよ。でもちょっとだけ」


甘い匂いに釣られてフラフラとする。


ようこそサーチャットへ。


「これは今朝上がった物。新鮮よ。食べて行ってちょうだいな」


この辺りは港が近く新鮮な魚介類が豊富に取れるのだとか。


「ほらこれなんかどう? 」


強烈な匂いと激しい呼び込みで落ちそうになる。


いけない。私はド・ラボーなのよ。こんな庶民の物を食べる訳にはいかない。


「食べるのかい? 」


「うん」


「買うのかい? 」


「はい」


「よし毎度あり」


押しの強いおばちゃんに押し切られえる。


すかさずガムが割り込む。


「何をやってるんですか! ステーテル! 」


「だって…… 」


「いいですか。これは私が全て頂きます。ステーテルは身分を弁えてください」


「ガムさん。少しぐらいよろしくて? 」


「なりません! 」


「お腹が空きました」


「ですからちゃんとしたところでお食事を」


「お金はあるの? 」


「それはもちろん」


ドルン金貨を十枚見せる。


一ヶ月分は賄える。


「ならばよろしい」


ガムはレストランを探す。


ドルンは共通通貨で全国どこでも使えるのが利点。


銀貨と金貨の二種類がある。金貨は銀貨十枚の価値がある。現在銀貨はその価値を下げつつある。


ガムに任せましょう。


町外れのレストランで落ち着く。


                 続く

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