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恐れていた事態 奪われた唇

二階。国王の間。


「お前が行ってきてくれぬか」


「しかし…… 私には国王を守る義務があります。絶対にここを離れる訳には行きません」


ゴッホゴッホ。


「ではこの儂に行けと? 」


「そうは申しておりません。この女を信用してはいけません。敵の回し者かもしれません。慎重に願います」


「分かっておる。だがこうもうるさくては敵わない」


「お願いします。王子は今か今かとお待ちになっております。失礼ですが王子はまだ幼い。我慢できないのでは?」


「無礼な奴め。どれだけ王子を冒涜すれば気が済む! 」


「ですから急いでいるのです」


「何だと! でたらめばかり言いおって! 」


家来には見透かされている。まあ誰でも分かるか。


後は体を壊し寝込んでいる現国王の気分次第。


「よさぬか。事実だ。それでお前は頼まれたのだな? 」


現国王は体を起こし咳をする。


ゴホゴホ

ふうふう


見ていて辛い。大丈夫だろうか?


「国王? 」


「大丈夫だ。よしそこの一段目を開けてくれ」


「ははあ! 」


金の装飾が施された鍵。地下と牢獄の鍵がセットになっている。


「よしこれを持って行け! 早く届けてやってくれ」


「国王。本当に信用してよろしいのですか? 」


「大丈夫じゃ。どうせ一人ではあそこには近づけまい。何と言っても獣が涎を垂らして獲物を待ち構えているのだからな。ははは…… ゴッホゴホ…… 」


国王は我々が地下の秘密に辿り着いたことを知る由もない。


しかし昨夜も忍び込んだように施錠はされていない。


なぜなら地下に降りてくる者など皆無なのだから。


あそこの鍵をいちいちかけて二階に戻すのは面倒だし国王の許可もいる。


最初のうちはしていたのかもしれないが最近特に国王の体調が思わしくない。あえて気を使って……


そう推測する。


挨拶をして堂々と部屋から出る。



ミッション・コンプリート



さあこれでうまくいった。悟られないように下を向く。


部屋を離れ一階に戻る。


誰も居ないわね?


地下へ。


ガンガン

ガンガン


食事の時間が過ぎたと言うのに一向に運ばれてこないのでしびれを切らし音を立てる囚人。


「すみません。お静かにお願いします」


「それであったのか? 」


鍵を見せる。


「ではそこから開けてくれ」


一瞬だけ疑問が生じる。


この爺が本当に助けてくれるだろうか?


まさか襲われる?


「どうした早くしてくれ。ただ開けるだけでいい」


「ちょっといいですか。本当に何もしませんね? 」


「馬鹿者! 儂を信じないでどうする? 」


「もう仕方ありませんね」


これ以上は時間の無駄。元国王を信じるしかない。


鍵を差し込む。


ガチャ


地下牢に閉じ込められていた元国王を救出。



ガムの活躍によりシーチャットが生まれ変わる。


秘密裏に元国王は館の外へ。



翌日。


さあ今日で全て決着がつく。


トントン

ドンドン


王子が勝手に入ってくる。


「どうしました王子? いつになくそわそわなさってますが」


「いや…… その…… 何でもない」


何でもないはずがないじゃない。元国王が脱走して行方不明では館内は大慌てに違いない。


「どうされたのですか? 」


「済まないが。聞かないでくれ」


王子にもプライドがある。自分のせいでもないのに気にしている。


王子のせいと言うよりもこの私のせいなんだけど。


何も言えずに心苦しい。


「済まないがここで大人しく待っていてくれ」


王子は元国王追跡に向かう。


「あの…… 手伝いましょうか? 」


「いやいい。これは我々の問題。余計なことはしないでもらいたい! 」


本気モードの王子。


「しかし…… 」


「ありがとう。ステーテル」


王子が振り返り戻ってくる。


えっ?


予想外の行動。


王子は強引に私の体を掴み唇に唇を重ねる。


一瞬のことで何が何だか分からない。


えええっ? どうして……


王子は笑顔でこう返す。


「ありがとう。我が妻よ」


固まる。


ああっ?

 

もう何が何だか分からない。頭がぼーっとする。


「ではステーテル。また後で」


王子に唇を奪われた。


王子のいきなりのキスに頬を染める。


ふふふ…… もう王子ったら……


キスされちゃった。私どうすればいいの?


王子の姿はもうない。


                 続く

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