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真夜中の恐怖体験

夜中。


ぎゃああ……


何か人間の叫びのような音が聞こえた。


せっかく眠りについたと思ったのに。目が冴えてしまった。


ぎゃああ!


まただ。前よりも鮮明に聞こえる。もう眠れないじゃない。


気のせいよね。きっと……



男との会話を思い出す。


うぎゃああ!


「ガム…… 」


「ははは! もう起きたか。あれが一番厄介な奴だ。他のは調教で何とでもなるが奴はとんでもない力と人間並みの知能を併せ持つ化け物だ。近づけば襲ってくる。まあ命が惜しかったら何度も言うが近づかないことだな」


ガムはただ首を振るだけだった。


「さあ探検ごっこは終わりだ。自分の部屋に戻ってもらおうか」


バタン。


扉が閉まる。


これでようやく落ち着ける…… あれ……


足音が聞こえない。まだこちらを監視しているの? 抜け目がないんだから。


もう寝てしまおう。



現在。


「お姉さま! 」


「スティ―! 」


抱き合う。


「怖い! どうしたらいいの? 」


「大丈夫よスティ―。大人しくしていれば何も問題ないわ」


「お姉さま! 」


恐怖で震えが止まらない。


「化け物って何? あの呻き声は何なの? 脅かすにしてもやり過ぎじゃない」


「スティ―。大丈夫。大丈夫だから落ち着いて」


「お姉さま! 」


震えは収まったかに思えた。あれ…… でもおかしい? まだなぜか震えている。


「お姉さま? 」


「馬鹿みたい。あんな脅しを真に受けて。自分でもどうすることもできないなんて」


ガムの震えが伝わってくる。


ああガムもやっぱり人間なのね。安心した。


「大丈夫ですお姉さま。もう寝ましょう」


「ありがとう。愛しのスティ―」



深夜三時過ぎ。


やはり眠れない。


ガムと抱き合い寝ようと努力したけど一向に眠る気配が無い。


羊を一万回数えた。でも寝れなかった。


だから今はガムが一人と数えることにした。


もう百体のお姉さまが出来上がった。


どうして眠れないの?


私はステーテルよ。ド・ラボーのステーテルなのよ?


プライドにかけても寝て見せる!


ああダメ。


気合いを入れれば入れるほど睡眠から遠ざかっていく。


罪なお姉さま。


罪な私。


もういっそのこと眠らなければいいのよ。そうよ。決めた!

 

熟睡しているガムを起こさないように立ち上がる。


立ったのはいいけどやっぱり暇よね。


王子はどうしてるかしら?


もう寝てるかな。子供だもの。


夜ってこんなにも静かだったの?


雨も止んだみたいだし風も吹いていない。


まあ仮に吹いていても館に居ればさほど気にならないけれど。


さあどうしましょう。困ったなあ……


トントン

トンタン


何かしら?


トントン

タンタン


足音?


徐々に近づいてくる。


まさか誰かいるの?


止まった。近い!


待って! 来ないで!


お願い!

 

足音が近づく。


止めて!

 

足が震える。息も苦しい。


「ステーテル! 」

「ステーテル! 」


私を呼ぶあなたは誰?


嫌! ダメ!


「ステーテル。何してるんですか? 」


「ガム…… 」


起こしてしまった。


「もう何を騒いでるんですか? 」

 

「ガム! 静かに! 」


声を抑える。ガムは察したのか小声で諭す。


「大丈夫です。幻聴ですよ」


「違う! あっ? 」

 

口を押える。


足音が再び動き出した。


助かった?


怖い話を聞いて敏感になっているだけ。そう、そうに決まってる!


「もう寝ましょう。心配要りません」


「ねえガム。今のは何だったの? 」


「さあ私にも分かりかねます」


「もしかしてあの男がやって来たのかも」


あの男とはもちろん案内役のこと。どうも私たちを警戒している様子。


「ステーテル? 」


「分かってるって。もう寝ましょう」


「いえ。追いかけてみませんか」


ガムの意外な提案に驚く。


「本気なの? 」


「ちょっと興味があるもので」


「でも…… 」


「大丈夫でしょう」


「ガムがそう言うなら」


確かに好奇心には勝てない。夜の屋敷を散策することに。


恐怖体験はまだまだ続く。


                続く

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