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集団生活

太陽が振り注ぐ。


「眩しい! 」


「ああ。慣れれば問題ない。ちょっと太陽が大きいのさ」


「大きい? 太陽が? 」


この人は何を言っているのだろう?


「太陽ってあの太陽? 」


「太陽ってのはな何種類もあってよ。これはまあ大きい方だ。お前らの世界ではもう少し小さいはず」


そうだったかしら? 


まあガムに聞けばそれも分かる。


「こっちだ」


女性たちが集まって忙しなく働いている。


何かしら?


世界が狂い始めた?


埋めている?


「ここは巨大な墓地なんだ定期的に死体が送られてくる。それを決まった時間までに埋葬する。この作業を毎日陽が暮れるまでやってもらいたい」


「でも私…… 」


「心配するな。作業終了次第連れに会わしてやる。お前は近くの村から調達してくる係だ。」


何を? 死体? まさかねえ……


「じゃあな。後は任せたぞ」


アイニーが戻る。


「ちょっと待って! 私はどうすれば? 」


初めてのことで戸惑ってしまう。


「もううるさいなあ。分かったよ。従っていればいいのさ。ほらよく見てろ! こんな風に手際よく死体をばらしてそれから再び接着する作業だ。簡単だろ? 」


「はい…… 」


「まだ何か分からないことがあったらあそこの女性に聞きな」


太った女性。ここでは珍しいのだとか。


「いやあ…… 何でか太っちゃうんだよね。ははは! 」


豪快に笑い飛ばすおばさん。それ以外の者は妙に覇気が無い。


どうしたのだろう。


「はいもう慣れたね。悪いけど本当にもう行くよ」


「ちょっと待ってください! 」


「まだ何かあるのか? 」


嫌な顔をされる。


「どれくらいやればガムに会えるの」


「そうだなこの作業を一日中やれば…… 」


「そんなに? 」


「いやそれを三万日も続ければいいだけさ。簡単だろ」


「ちょっと……  三万日? 冗談ですよね」


「ははは! この世界で現実なんて言っても意味はないがまあそれくらいはかかるかな」


一体どれだけやればいいのだろう。果てしない労働の末に解放される未来。


想像するだけで吐き気がする。


「そんな! 」


「いや大したことはない。三万日などあっと言う間だ。体が何度か壊れたらもう到達しているだろう。無限の時では三万日などあっと言う間だ」


「無限の時? 」


「ああ。お前はもうここで体が壊れるまで働いてもらう。それがここにやって来た者の宿命」


選択の余地はないようだ。


「さあ取り掛かりな。後は任せたよ! 」


アイニーは行ってしまった。


結局従うしかない。


死体を集めバラバラにしそれを接合。


繰り返す。



日暮れ。


「よしここまで。後は寝るよ」


集団生活が始まった。


これならば牢獄に入っているのと変わりはない。ああ早くガムに会って何とかしなくてはいけない。


ガムどうしてるのかしら? ガム!


今朝のベットは客用らしく私たちは別の狭い部屋で重なるように眠る。


過酷な環境。


もう嫌!


だが他の者は平然としている。


「寝るよ! 」


私はド・ラボーなのよ。どうしてこんなことになったの? ああ全然分からない。


話す者はいない。


いびきが響き渡る。歯ぎしりをする者まで現れる。


両方ともあの太ったおばさんからだ。


他の者はそれは静かで大人しい。今のところは……


ああなぜ?


これは現実?


夢であって欲しい。


王子どころか城さえ見当たらない。


ここで一生を過ごすのか……


ぐおお!


豪快ないびきに激しいアタック。もう寝ることさえままならない。


ああまた歯ぎしり。


もう止めて!


止めて!


私が何をしたの? 私を許して!


耳を塞ぐがちっとも効果がない。


あれ?


いびきと共に何か声がしない?


「ステーテル! ステーテル! 」


ガムの声だ。


どこ?

 

「お静かに。気づかれないように外へ」


トイレに行く振りをして声の方へ。


「ステーテル! こっちです。早く! 早く! 」


「ガム? 」


「ステーテル! 」


「ガム! 」


ようやく会うことができた。


何日ぶりだろう。随分と長かった気もする。


「ガム! ガム! 」


抱き合う。


「お願い! 強く抱きしめて! 」


「もう、甘えん坊なんだから」


優しいガムが現れた。


                続く

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