めでたしめでたし
ひゃああはは!
イエー!
「ほれ避けろ避けろ! 当たってしまうぞ! わははは! 」
再び王子のご乱心。
「王様こちらへ早く! 」
木の陰に身を隠す。
王子は我を失っている。いつもの王子ではない。
昨日のことが無ければ今も信じられない。
またあいつ!
「あれほど与えるなと言っておいたのに! 」
「王様? 」
「ステーテルや本当に済まない。バカ息子が何を考えているのやら」
「昨日もありましたよ」
「甘やかすものだからまったく! 」
王子は弾が尽きるまで乱射を続ける。もう手が付けられない。
「王子はいつもこうなのでしょうか? 」
「うむ。奴の悪い癖でな。もともと臆病なたちでいつもは大人しいのだがどうも銃を持つと人が変わってしまう」
ガチャガチャ
弾切れのようだ。
「取り押さえろ! 」
執事たちが取り囲む。
「確保! 」
「王子? お前と言う奴は! 」
「あれ父上? いつの間に。ははは…… 」
「馬鹿者! 二度と銃を手にするでない! 分かったな? 」
「はい…… 」
「そうでなければこの屋敷から出て行ってもらう! 」
「うわああ! それは困ります」
「自業自得ではないか」
「すみません。もう二度としません」
「ふう一件落着か。これでしばらくは大丈夫であろう」
国王の白髪が一気に増えた。
「さあステーテル。気を取り直して食事にしよう」
マイペースの国王。
後始末を執事に任せ歩き出す。
ようやく落ち着く事ができた。
もう少しで王が凶弾に倒れるところだった。巻き込まれてもおかしくなかった。
危ない危ない。本当に危なかった。
翌日。
謁見の間に第一王子と共に呼ばれる。
「昨日は大変だったな。バカ息子にはきつく叱ってある。許してやってくれ」
「はあ…… 」
第三王子は当分の間外出を禁じられた。監視もつけられているとのこと。
「そろそろいい知らせを聞かせて欲しいのだが」
第一王子は緊張のせいか下を向いたまま。
「ステーテルよ。どうじゃ? 考えてくれたか? 」
「それは…… 」
「何? まだはっきりせんのか? 」
「いえ。お互いに確かめております」
「では良いのだな? 」
「はい」
「王子も良いな? 」
「もちろん」
「では十日後に式を執り行う。問題ないな? 」
王子を見る。
「はい」
「うむ! それでは急いで式の準備だ」
退出。入れ代わりで執事が中へ。
部屋に戻る。
「どうしましたステーテル。王子と婚約したのですか? 」
「ええ。王様の許しを頂きました」
「それは結構なことですね。おめでとうございます」
「ガムにも苦労をかけましたね」
「ステーテル…… 後は当日まで何もなければいいのですが」
「ガム? 」
「だって前回。土壇場でお逃げになったではないですか」
「そんなこともありましたっけ? 」
「とぼけるおつもりですか? 」
「もうガムったら。意地悪なんだから」
「何にせよ。今度は我慢してくださいよ」
「でもそれが難しいのよね。ガムにも覚えがあるでしょう? 」
『マリッジブルー』
「いえ。私はまだそのような機会に恵まれておりませんので」
「私はどうやらマリッジブルーになりやすいらしい」
「まあ心理は本人にしか分かりませんからね」
「今度は絶対大丈夫! 」
「そうですよ。深刻にならなければいい。その日までボーっとしてればいいんです」
「うーん」
「それとこの十か条は破きますか? 」
王子に求める十か条。
「もう必要ありませんよね? 幸せになるんですから」
「待って! それは捨てないで! 」
「でも今度の方はかけ離れてしまってますよ」
「理想は難しいのよね」
こうしてステーテルは第一王子の妃となった。
婚姻を結んで一年後無事に大きな赤子が生まれた。
計三人の天使を授かった。
こうしてステーテルはいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
お終い……
「ダメ! ストップ! 」
思い描いていた幸せな未来は消えて無くなる。
「ガムちょっと」
「どうしました? この期に及んでまだ私は必要なんでしょうか? 」
「ごめんなさい」
「まさかステーテル? 」
「私…… 結婚できない! 」
「どうしました? 落ち着いてください。ステーテル! 」
「王子は優しい方です。しかしあまりにも優柔不断でイライラするんです。このまま結婚すればやがて我慢できなくなり不幸になってしまいます。だからお別れしたいの」
「ちょっと。ステーテル? 無理ですよ。今さらどうしろと? 」
「あなたは私の付き人なのですか代わりにお断りして。お願い! 」
「そんな…… 」
「これ以上は耐えられない」
「そんな深刻にならなくても。マリッジブルーなんですから。そのうち不安も消えます。ねえステーテル? 」
「ごめんなさいガム」
「どうしても? 」
「お願い! 」
「もう! 仕方がないわね」
我がままを聞き入れる。
続く




