謁見
翌朝。
元の二人に戻った。
ああどうしたらいいの? 胸の内を明かしたとはいえまだ納得がいってない。
第一王子何て嫌! 狙われ続ける毎日。
いつも帰りを待つのは耐えられない。
昨日のことでニ―チャットとの関係が悪化すれば再び世界を巻き込む大混乱を引き起こしかねない。
ただでさえ危険なのにこれ以上面倒ごとは避けなければ。
あーあ。どうしたらいいのかしら?
「ステーテル」
王子がやって来た。
もじもじするところが見ていられない。
「まだです。申し訳ありません」
返事を待っているのは分かっている。でもどうしても決断できない。
「焦らなくていい。次の機会にでも」
そうして翌日もその翌日も迫ってくる。
もう何を考えているの? ふざけないで!
しかしそのことを伝えられるわけもなく避けるようになった。
王子ごめんなさい。
国王挨拶。
ガムに言われるまま服を着替え髪を整える。
それから煌びやかな装飾を身に着け準備完了。
「ガム! これはどういうことです? 」
「ステーテル。国王様がお会いしたいと」
謁見の間に通される。
ド・ラボーとしてふさわしい格好をする。それが最低限のマナー。
まあこれくらいニ―チャットでは当たり前に出来ていた。問題ない。
「国王様がお見えになりました」
皆が下を向く。私も合わせる。
あらゆる装飾を施した椅子に腰を下ろすお爺ちゃん。もう六十を過ぎているのかと錯覚する。
微笑みを持って迎え入れる。
ホホホ……
完全な爺だ。
皺と白髪。染み。
笑顔の中にも威厳と苦悩と孤独を感じ取ることができる。
もし道端でであったらこう声をかけてあげるだろう。
お爺ちゃん大丈夫? 無理しないでね。
「その方。ド・ラボーだと聞いたが間違いないか? ゴッホホホ! 」
咳が止まらないようだ。何かご病気なのかしら。
「ここは空気が悪くていかん。どうじゃ外に行って新鮮な空気を吸うては? 」
国王の誘い。無下にできない。
ほらガムもさっきから睨んでいるしね。
「喜んでお供いたします」
お庭の散策。
立派な庭園だこと。
庭師が花の手入れを行っている。
国王を見て帽子を取る。
「おい! ここを見ろ! 虫がいるではないか! 」
「いいんですよ。これは益虫なんですから」
「何を! 」
爺の癇癪。いや国王の激怒が見られる?
「まったくお前と言う奴は…… 」
二人は幼馴染だそうだ。
要するに王のコネでここの庭を預かっている。まあ簡単に言うとただの爺ということ。
「さあ行くとしよう。ステーテル」
腕を組む。
「おい! 若い者に入れ上げるなよ! かわいそうだと思わないのか」
「かわいそう? もうとっくに逝ってしまったわ! 」
「おお。そうだったな。しかし国王が間違った道を歩むのを見ていられない」
「ふん。余計なお世話だ。この方は我が王子の婚約者じゃ」
「ではその婚約者さん。この中のどれでも一つ持って行くといい」
気前の良い爺。
お言葉に甘えてバラを一本頂戴する。
「ありがとうございます」
「それでだこの花は…… 」
「おい行くぞ! 話が長くなりそうだ」
「ちょっと待て! 」
国王は無視を決め込む。
「ごきげんよう」
ドン
ドン
さっきから音がする。嫌な感じ。何かしら?
「済まんな。騒がしくていけない」
あれこれって……
「何じゃ騒々しいぞ! 」
うわああ!
きゃああ!
メイドや使用人に執事までが血相を変えて走ってくる。
王様を置いてどこかへと消えていく。
「済まんのう。ステーテル。いつもはこうではないのだが…… 」
「王様! 王様! 早くお逃げください! 」
第三王子の世話係が走ってきた。
「どうした? 騒々しいではないか! 」
「それが…… 王子が乱射を始めました」
国王のすぐ左を弾が通過した。
国王危うし。
続く




