再会 日暮れに響くドッドの音
城外。
「大丈夫かな王子様…… まったく俺もついてくればよかったか」
「あんたも大変ね」
「しょうがないだろ。腐れ縁なんだから。まあ世話にもなってるしな」
「苦労も迷惑もかけられてるんでしょう? 」
「ああ。たっぷりと」
「ギリギリの人ですからね」
「そうギリギリなんだ。いやもうアウトかな」
心配が尽きない。
「ドッドもいるし心配ないと思うけど」
「だが魔王なんだぞ。秘策でもあるのか? 」
「さあ…… 」
「ダメだこりゃ! 」
「とにかく私たちにやれることは祈ることだけ。無事に皆が帰ってくるのを待ちましょう」
「ああそうだな。よし出迎えようぜ! 」
無事帰ることを信じて出口の前で列を作る。
ちょっと離れて左右に二人ずつ。アーチを作る。
魔王城最終決戦。
タイムリット迫る。
「パパ」
「うむ。王子がやって来たと言うことはもうそろそろ時間かな。うん? どうしたステーテル。顔色が悪いようだが? 」
やっぱり無理…… 当然よね。難攻不落の魔王城に挑む方が間違ってる。
やっぱり無理…… 受け付けない! 王子が可愛ければまだいいけど正体を知ってからは余計ダメ。
「さあもう時間だ。諦めるには早いがそろそろ心の準備をしておきなさい! 」
まるで父親のように振る舞う魔王。
『はいお父様! 』とでも言えばいいのかしら。
魔王は今か今かと耳を澄ます。
王子もそわそわと落ち着かない。
「そうだパパ。お祝いに新鮮な手料理を振る舞おうと思うんだ」
いつになく饒舌なアルカンダラ王子。照れや不安はどこへやら。
日暮れ。
ドーン!
ドーン!
やけに乱暴な日暮れを知らせる鐘の音。
「おい! 何だこれは? 」
「分かりません。たぶん故障でしょう」
「馬鹿な! それではせっかくの約束が」
「日暮れには違いありません。良いではないですか? 」
確かにその通り。鐘が鳴らないとしても時間ならば諦めるしかない。
「ステーテル。済まないが故障したようだ。もう時間なのでそろそろ」
鐘は鳴らないが時間だと迫る魔王。
「嫌! 諦めない! 絶対諦めない! 」
「困ったお嬢さんだ。まあ今回はこちらの不手際。だがもういい加減観念するんだな! 」
「そうだねパパ。諦めが肝心だね」
ドーン!
ドン!
うん? まだ続いている。まるで誰かが強くノックしているかのような異音。
ドン!
ドドン!
音が消え静かになったと思ったら部屋の外から声が。
「魔王様。お客様がお見えになっております」
「うむ。良かろう。連れて参れ! 」
「ははあ! 」
「パパ誰と話してるの? 」
「それは…… うん。誰だ? 」
王子に指摘されて気付くちょっとお茶目な魔王様。
「ふふふ…… 変ですわね」
「笑うな! お前たちはそこで大人しくしていろ! 様子を見てくる」
乱暴にドアを開けたその時だった。
バン!
ドドン!
銃声が響き渡る。
意表を突かれた魔王が倒れ込む。
はあはあ
はあはあ
「迎えに来たぜスティー! 」
「その声はまさか…… 」
ドッドが姿を現した。
「スティ―! 」
「ドッド! 」
胸に飛び込む。
「ありがとうドッド。助けに来てくれたのね」
「ああ。約束しただろ」
「ドッド! 」
「へっへへ…… 」
「あの…… 私らもいるんですけど…… はい。見えてなかったら結構です」
「えっとあなたは? 」
ドッドの付き添い。コンプラ部隊の一人。
名もなき助っ人。渋い見た目と渋い役割の男。
それから…… もう一人。
「やあステーテル。久しぶりだね」
「まさかあなたは王子? 」
「ははは! お忍びでね」
乱射王子登場。
超トラブルメーカーで常に懐に拳銃を忍ばせている狂乱王子。
もはやどこの国の第何王子かは問題ではない。
国にも見捨てられタレイと共に全国を回っている困った人。
二度と会いたくないと思っていたけど以外にも再会できたことが嬉しい。なぜかしら?
まあ誰であれ助けてくれたナイトで王子。感謝しなくちゃ。
「いやあ…… やっぱりこういう場面では腕が鳴るよ」
ところどころに痕が見られる。変な音の正体はこの男か。
「ははは! 」
「話は後だ! とにかくここから脱出するぞ! 」
ドッドに強引に腕を掴まれる。
果たしてこのまま無事魔王城を脱出できるのか?
続く




