ニードルフ対第一王子
王命を受けたニードルフと危機を察知した執事がにらみ合う。
王子の件に続き面倒ごとが絶えない。
「あら執事さん。お客様ですか」
何も知らないガムが戻ってくる。最悪のタイミング。
「ガム様。今お帰りですか? 」
「ええ。用事がありまして」
まずい! ガムが急接近。
もう目の前にニードルフ。
「うん? 」
ダメよ! 気づかないで!
お互いに気付いてはダメ!
もちろんガムはニードルフを知っている。ニードルフも私たちのことを記憶している。
もうダメ! きゃあああ!
飛び出る準備。
でも今行っては藪蛇。
あの男に捕まりに行くようなもの。
間抜けにもほどがある。
捕まったら火あぶり。
それだけじゃない。反逆者として晒される。
どうしよう? このままではまずい!
ガムが男を見る。
「どうも…… 」
「ガム様。お入りください。そのお方はお帰りになりますので」
「ガム? まさかお前? 」
もうダメだ! 見ていられない。
「おい、待て! お前はお付のガムだな? 」
ついに気づかれた。
目を瞑る。
その時後ろから男の声が聞こえた。
あれ?
「王命だ! お前を連行する。来るがいい! 」
「お止めください」
執事が間に入る。
「こ奴は反逆者だ! 」
「反逆者? 」
「そうだ。王子を騙した不届きものだ」
「ちょっと何をするの! 」
ガムが抵抗する。
「お前らは嘘を吐いた。そして素直に反逆者を引き渡さなかった。これは帰って報告をせねばな。どちらが正しいかは一目瞭然。争いは避けられんぞ! 」
ついにガムは敵の手に落ちた。
私はどうすればいいの?
ガムに迷惑をかけ執事さんを巻き込んだ。
それだけじゃない。国同士の争いにまで発展してしまうかもしれない。
もうダメ!
顔を手で覆う。
「いいか。次に来た時までにステーテルを用意しておけ! 詫びが通用しなくなるぞ。ははは! 」
「大丈夫だ。顔を上げろ」
「はい? 」
ニードルフはガムを引っ立てていく。
「待て! その者を置いていけ! 」
「王子! お止めください! これ以上の犠牲は払えません」
執事が慌てて止めに入る。
王子? あのボンクラ?
ううん。違う。第一王子だわ。
「おい! 聞こえぬか! その者は客人。勝手に連れて行くとは無礼であるぞ! 」
「ははは! これは王子様。いえ次期国王様ではないですか。
まさか我が国とことを構えようとするおつもりですか? 」
「ああ。返事次第だ」
「ははは! 温厚な現国王が望みますかな? 」
「うるさい! その時はその時だ! 」
王子は勇敢にも立ち向かう。
私の為に?
ああ。何て男らしいのかしら。
やっぱりこれでなくてはいけません。
おじさんは好みではないけどいいかもしれません。
ガムのピンチ。
もちろん私の身にも危険が及びかねない状況。
王子が私の為に。
「本気ですか? 」
「置いていくのだ! 」
王子は剣を抜く。
「それだけはそれだけはおやめください」
執事が懇願するが聞く耳を持たない。
「ははは! いいでしょう。この場は引きましょう。しかし次があるとは思わないでください」
ニードルフが去って行った。
脅しをかけると言うことはまだのぞみがあると言うこと。
「ガム! 」
「ステーテル…… 申し訳ございません」
責任を感じているようだ。
「おい! 貴様」
「私ですか? 」
「そうだ。話がある。部屋に来い! 」
執事は頭を抱えてどこかに行ってしまった。
「ではステーテル。私は部屋に戻っていますね」
「ちょっと。一緒にお願い」
「ですが。王子である以上心配はありません。私が対処するのは身分の卑しい者。あなたを害する者。王子は当てはまりません。勝手にどうぞ」
「でも…… 」
「すいません。私も疲れました」
ガムは連れない。
まああれだけのことがあったのだから無理もないか。
続く




