王子を人質に! 脱出作戦開始
城外では魔王城攻略に向けた話し合いが続いている。
「まあいいわ。それで何か気になることは? 」
「そうだな。魔王城に詳しい奴は…… 」
「それならこいつだ」
ドッドがこの国唯一の生き残りである男を紹介。
「俺は本当に何も知らない」
「そうか。ならガムはどうだ? 」
「私も気がついたら魔王の姿があって追い出されたから詳しいことはちょっと…… 」
「あそこは五階建てだ」
生き残りの男は唐突に話し出す。多少は知っているらしい。
「五階には大きな窓がある。こっちからでは見づらいが確かにある」
「何だよ。入り方があるんじゃねいか! 」
「馬鹿ね! どうやって行くつもりなのかしら? 」
「それはもちろんこの壁を登ればいいいいのさ」
「五階まで? 」
「ああ簡単だろ? 」
「それはちょっと…… 」
生き残りの男が反論。
「あそこを登るには骨が折れる。特につるつるしていて滑りやすい。それに魔王だって邪魔をするだろうから不可能じゃないかな」
「やってみなければ分からないだろう。違うか? 」
ドッドはやる気満々。
「そうだな。ドッドに賛成! 」
ちょっと待ってよドッド。皆も! 」
ガムの反対を無視して盛り上がっている男たち。
話し合いがまとまりつつある。
「分かった! 分かりました! ドッドたちはそちらを。私たちは違う方法を考えます」
人が多ければ多い程いい。時間が許す限り思いついた案を全て試す。
「さあ行くぞ皆! 」
「おう! 」
内。
ブランチを終え魔王と世間話。
「イーチャットに何の用があるんだい? 」
「魔王のあなたに言う必要も意味もないんですけど」
「つれないな。もし君が晴れてここから出るようなことがあれば全面的に協力してやってもいいんだけどな」
悪魔。いや魔王のささやき。
まあ確かに魔王を味方につけるのは得策。何かの時に役に立つかもしれない。
「いいわ。実はイーチャットには太郎王子を助けに行くつもり」
「太郎王子? 」
「ええっと…… 太郎王子はイーチャット国第三王子のことで」
「ああ。話は聞いてるぞ。何でも政変があったとかで第三王子は幽閉され近々処刑されるのだとか」
「詳しいのね」
「まあ噂ぐらいは耳にするからね」
コンコン。
アルカンダラ王子が姿を見せた。
「どうだ二人でダンスでも。もうすぐ結ばれるのだしこの際練習すると言うのは? 」
アルカンダラ王子は恥ずかしそうに頷く。
「いい加減にして! 」
拒絶。王子を傷つけてしまったかしら? まだ諦めたくない。でも待ってよ……
閃いた! 魔王は無敵かもしれないけどこの王子はどうかしら? 試してみる価値はありそうね。
「申し訳ありません。言い過ぎました。どうかご一緒して頂けないでしょうか? 」
「ふふふ…… 王子を気に入ってくれたようだね」
「さあ王子様! 」
照れながらも踊り始める王子。満更でもないと言った表情。
体を密着させる。
さあこれからが大変。ゆっくり警戒されないように自然に。慣れたところで……
よし今だ!
踊ると見せかけて王子の後ろを取り人質にする。
「何をする…… 」
魔王も警戒が薄れたのか呆然と立ち尽くす。
「さあ私をここから出しなさい! 」
「ふふふ…… それはできない相談だな」
「ちょっと止めてよ…… 」
情けない王子の抵抗。
「どうする? 王子がどうなってもいいの? 」
「ふふふ…… ふざけ過ぎですよ。仮にも魔王がその程度のことで動揺すると思ってるんですか?」
「パパ。痛いよ。早く助けて! 」
「王子もこう言ってるんです。意地を張らずに言うことを聞いたらどう? 」
「まったく本当に困った人だ。約束はどうしました?」
「そんなこと知らないわよ! 私がここから脱出すればいいんでしょう! 」
「まったく面白い人だ。暇つぶしの余興に付き合ってくれるのだからありがたい」
「強がりは結構よ! 」
「そう興奮するな。君の好きにするといい。でもどうやって? ここからは出られないぞ」
魔王は余裕。
まさか動きを読まれていた? そんなことない…… きっとあっちだって焦ってるはず。想定外の動きですものね。
「さあ早くここから出しなさい! 」
「パパ! 助けてよ」
王子を人質にとっての強引な脱出劇は果たしてうまくいくのか?
続く




