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魔王様とお食事 まさかのゴールイン?

お食事。


今はあれ…… 夜みたいね。ここは一体? 確か魔王城上空で墜落して…… まさか魔王城?


窓から見える景色はただ真っ暗で不安になる。室内もロウソクの灯だけで薄暗く心もとない。


かなり不気味だけど魔王城なんだからこれくらい当然よね。


「あなたが魔王? 」


「そうだ。改めましてステーテル」


「私の名前知ってるの? 」


「驚いたかい? 魔王様だからな。この世界のことは何でも知っているのさ。ふふふ…… 」


さっきから薄ら笑い。私を舐めてるの? あら…… 少々下品だったかしら。



「とりあえず話は後だ。食事を済ましてしまおう」


目の前には豪勢なお肉。あーお腹空いた。


「食事? 何の肉とも分からないこんなものを食べろと? まさか人肉なんて言わないわよね! 」


グロテスク極まりない。魔王なら有り得る。


「ははは! 正解」


「何ですって! 」


「冗談だ。これは正真正銘ジビエ肉だ」


「そう…… ならよかった。頂きます」


恐る恐る一口。


「うん! 美味しいじゃない。これ何の肉? 」


「ははは! 気に入ってくれたか。だからジビエさ」


「だからジビエって何よ! 」


「我々の邪魔をする迷惑な獣。困った害虫だ。まあ猿の一種とでも言っておこうかな」


「ホホホ…… 何それ? 」


「気にするな。旨ければそれでいいだろ? 」


勧められるまま平らげる。


ロクなもの食べてなかったからなあ……



「そうだガムは? ガムはどこに? 」


「ああ。お連れさんはお引き取り願ったよ」


「ちょっと! 」


「仕方がないだろ。もう必要ないのだからな」


何を言ってるのだろう?


「何でも君のお付の者だとか」


「そうよ! 」

 

「ならもう必要はないだろ。役目を終えたのだ」


「はああ? 」


「ド・ラボーなんだろう? 」


「知ってるの? 」


「ああこの世界のルールぐらいな。だからお前には一生ここにいてもらうぞ」


魔王の鋭い眼。


「ちょっと何言ってるの? 訳が分からない! 」


「君には妻になってもらいたいんだ」


「冗談…… じゃないのよね? 」


「もちろん。これでも紳士的に振る舞ってるつもりだ」


「私は嫌よ! お断りよ! 」


「ははは! 君に選択の余地はない」


振る舞いは確かに紳士的。でもずいぶんと上からで感じが悪い。



「ここから抜け出せなければ意味がないだろ? 」


「まさか監禁するつもり? 」


「いや。君はもうここから一生抜け出せないんだ。連れまで巻き込んでは可哀想だろ? だから優しさで返してやった。ガムさんだったけ。彼女には違う道を歩んでもらいたい」


勝手すぎるんですけど……


「あなた酷いじゃない! どこが紳士的なのよ。醜い悪魔め! 」


「ははは! 褒め言葉として受け取っておこう」


魔王は余裕だ。


今までの苦労が全て水の泡。


このままでは太郎救出は夢のまた夢。


頭を抱える。


「もうダメね…… 」


「そんな落ち込まなくてもいいさ。ここで末永くやって行こうではないか」



ううう…… もう涙がでそう。


私の運命って一体? 魔王の妻になれなんて酷すぎる。


思い返せば今までの王子たちはずいぶんと我がままで手に負えなかったりトラブルばかりだった。


それも可愛いもの。我慢しても良かったかもね。まあ宇宙王子はちょっと遠慮したいけど。


でもこの魔王の妻になるくらいなら異星結婚だっていいって思えてくる。不思議な感覚。


そんな妥協案も虚しい。



「分かったよ。一度だけチャンスをやろう。その代りこちらの頼みも聞いてくれるね」


「はあ…… 」

 

「今は夜だ。これから一日以内に見事ここから救い出す者がいたら大人しく手を引こう。いいか。明日、日暮れの鐘が鳴り響く前に脱出するんだ」


魔王には勝算があるのだろう。未だに笑みを浮かべ余裕の表情。



「分かった。それで頼みって? 」


「この魔王には妻がいる。いや、いた」


「まさか道徳的にまずいとか? 」


「いや。だから子もいるんだ」


「普通なのね。まあどこも似たようなものか。それで? 」


「実は君には我が息子。小魔王の妻になってもらいたい! 」


はああ? 変な展開。


「呑んでくれるね? 」


「分かりました! お受けいたしましょう」



ついにすべてを賭けた命がけの戦いが始まる。


絶対に負けられない戦いがそこにはある。


                続く

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