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魔王城にて

地上。


ドッドの誘導で崖までやって来た一行。


崖を飛び越え部隊は山を駆け上がっていく。


「ステーテル! 」


「スティ―! 我が愛しの君! 」


ステーテルの後を辿る。



クールシチャット国境。


「兄貴! 」


「二人はどうした? 」


「空飛ぶ馬車に乗ってイーチャットへ向かったみたいっす」


「本当か? 」


「へい。ここからも見えますんでね。ただ…… 」


「何だ言ってみろ? 」


「急いでいたもので肝心なことを言うのを忘れてしまいました。申し訳ねい」


「どういうことだ? 詳しく話せ! 」


急かすが要領を得ない。


「落ち着いてください兄貴」


「いいから早く話せって! 」


「へい。魔王城の上を通るのは危険なので迂回するように言うつもりが急いでるみたいだったのでついつい言いそびれちまいやした。へへへ…… 」


悪びれる様子もなく笑っている。こいつは何の為にここに居るのか?


「馬鹿野郎! それじゃあここに居る意味がないだろ! 」


「だって…… こっちも大変だったんっすから」


とにかく行ってみるしかないな。


部隊は山登りの準備を始める。


「もう間に合わない! 着いてきてくれ! 」



ドッドたちはクールシチャットに入る。


「おい! 何だあんたら? 」


「俺はドッド」


「何だハッシャか。お仲間がここで助けを呼んでたぞ」


クールシチャット唯一の人間。


「ほら連れて帰りな! 」


「いや違う。俺はもう…… 」


「だがハッシャだろ? 見覚えあるぞ」


「そんなことよりも俺たちも乗せてくれないか? 」


「それは無理な相談だ 」


「できない? どうして? 」


「もう一台もない。残念だったな。さっき二人組が乗って行っちまったよ」


「それで二人はどこに向かった? 」


「ああイーチャットだ。可哀想なことに魔王城で捕まっちまったようだがな」


「何だと! 」


「急ぐんだな。魔王が何をするか分からない」


空飛ぶ馬車が使えないとなるとえらく時間がかかる。とにかく急ぐしかない。


まあ歩いて行くよりはまだマシか。今は馬がある。


「さあ皆スティ―をお助けするぞ! 」


「おう! 」


ドッドたちは魔王城に向かった。



魔王城。


「王子! ご無事でしたか? 」


ガムが畏まる。


「ふふふ…… 」


笑みを湛えるだけで一言も発しない寡黙な王子。


太郎のくせに生意気。


「まさかあなた様がこの魔王城に閉じ込められていたなんて思いもしませんでした」


「ははは! 」


多くを語らない陰のあるミステリアスな王子。


てっきり囚われているとばかり思っていたが……


うーん。こいつ何様?


「王子はこのガムのことを覚えておいでで? 」


手を使って答える。


「もう太郎ったらまったく! いい加減にしてよね! 」 


「王子。こちらに…… 」


「ちょっと何するの? 」


太郎が強引に手を掴んでくる。


「くくく…… 」


太郎…… いや王子とは言えふざけ過ぎだ。


私を誰だと思ってるの? ステーテル様! ステーテル様なのよ!

 

「太郎! いい加減にしなさい! 」


「ううう…… 」


「反応が無いみたいだけど太郎。ヘイはどうしたの? 」


「へへへ…… 」


まだへらへらして生意気な態度を取る太郎。


いよいよ我慢の限界。余りの太郎の態度に怒りが収まらない。


こぶしを突き上げる。


「ふふふ…… 」


まだ笑い続けるのか。


「太郎! これ以上ふざけたらどうなるか分かってるでしょうね? 」


だが太郎は決して止めようとはしない。



「ふざけないで! 」


ついに怒り爆発。


「太郎! 」


「ご…… ごめんなさい。反省してます」


まったく情けないんだから。これで良く王子が務まるものだ。


「許してよ…… 」


「いい太郎? あれ…… 」


いつの間にか太郎は姿を消した。


ただ情けない声だけが響き渡る。


うう。何これ?



「おい! 起きろ! 」


夢から醒め現実に引き戻される。


夢か……


太郎への思いがこんな風変わりな夢を見せた?


「そろそろ起きてもらわなくてはお嬢さん」


「あんた誰? 」


随分とくたびれた男とも女ともとれる見た目。若いと言えば若いし老けているかと言えばそう言えなくもない。


「あなたは? 」


「フン。俺は魔王様だ! お前をここに招待した」


「私を? 」


「ああ。ゆっくりしていくといい」



これもただの夢よね?


太郎どこにいるの?


                続く

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